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Photo by Chris Jackson/Getty Images

2019年にウィスコンシン州の連邦捜査官は、ある女児に対する性的虐待と人身取引の容疑で複数の男の行方を追っていた。フォーブスが入手した捜査資料によると、この女児は2019年に行方不明になった後に、誘拐されて性的暴行被害に遭ったことを訴えたという。

警察は、グーグルに対し、女児や女児の母親の名前や住所を事件が発生した16日間に検索したユーザーの情報を提供するよう要求した。グーグルは、2020年半ばに検索を行ったユーザーのグーグルアカウントやIPアドレスを政府に提供したが、何人のユーザーが対象になったかは明かされていない。

今回の捜査では、特定のキーワードを検索したユーザーの情報提供を求める、「キーワード令状」(keyword warrant)と呼ばれる特殊な捜査令状が発行された。キーワード令状が公になったのは、これまでに2件しかない。1件目は、歌手のR・ケリーによる恐喝事件の目撃者が車を放火され、警察が容疑者の住所を検索したユーザーの情報提供を求めたもので、2020年に明らかになった。2件目は、ミネソタ州の裁判官が、詐欺事件が起きたイーダイナ市内で被害者の名前を検索したユーザーの情報提供を求めたもので、2017年に明らかになった。

グーグルは、毎年このような政府命令を数千件受けているが、キーワード令状はとりわけ物議を醸している。通常、政府は容疑者のグーグルアカウントを特定し、そのアカウントが犯罪に関連している証拠を集める目的でグーグルに協力を要請する。これに対し、キーワード令状は、容疑者の身元が分からない状態で、犯人の特定につながる情報収集を目的として行うものだ。これは、特定の時間帯に犯罪現場周辺にいた人の位置情報をグーグルに求める「ジオフェンス令状」に似ている。

「当社は警察の捜査に協力すると同時にユーザーのプライバシーを守るための厳正な手順を踏んでいる」とグーグルの広報担当者は述べている。

言論の自由を脅かす懸念


こうした警察による要請は、無実の人を犯罪捜査に巻き込むリスクや、その合法性が懸念される。ウィスコンシン州の捜査では、警察は検索が行われた時間帯や、検索した氏名や住所、電話番号を限定することで捜査対象となる人の数を制限しようと試みた。しかし、プライバシー専門家は、このような捜査の前例が作られることや、不法な捜索を拒否できる合衆国憲法修正4条にふれることを懸念している。また、利用者にとっては、検索した内容によって身元情報が当局に渡されることになり、言論の自由が侵害された恐れがある。

編集=上田裕資

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