「警察は、特定のキーワードを検索した人物を特定できてしまう。これは、人々の興味や関心に基づいて捜査を行う、バーチャルな捜査網であり、データベースを用いたマインド・リーディングのようなものだ。これまでなかった技術を用いた捜査によって、無実の人の情報が当局の手に渡ることは避けられない。さらに悪いことに、警察はこうした捜査を秘密裏に行っているため、社会的な議論が巻き起こりにくく、規制もされにくい」とアメリカ自由人権協会のJennifer Granickは述べている。
ウィスコンシン州の事例は、9月に司法省がうっかり公開してしまった。フォーブスは、資料が再び非公開化される前に内容を確認したが、被害女児や家族のプライバシーを保護するため、内容の公開を控えている。
フォーブスの調査により、もう1つのキーワード令状の事例も明らかになった。それは、2020年12月にカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所が出したもので、訴訟事件表に記されていた。令状は閲覧できないが、名称は「6つの検索ワードと4日間の検索期間に関連したグーグルアカウントの捜査令状」となっており、捜査対象が広範に及ぶ可能性があったことを伺わせる。
CookieIDも把握される
キーワード令状により、警察はグーグルアカウントやIPアドレス以外の情報も得ることができる。ウィスコンシン州の事例では、警察は検索を行ったユーザーのCookieIDを取得しようとしていた。CookieIDとは、ある時間帯に特定のデバイスから行った検索を認識するIDだ。「警察は、CookieIDを用いることで、ユーザーがグーグルアカウントにログインしていなくても、犯罪に関連した検索を行ったかを把握することができる」と捜査資料には記載されている。
捜査令状には、もう1つ気がかりな点がある。政府は、誘拐された女児の氏名やフェイスブックのプロフィール(現在はアクセスできなくなっている)、電話番号、住所を記載しており、女児のプライバシーが侵害される恐れがあった。フォーブスが司法省にコメントを求めた後に、政府は資料を非公開化した。
近年、性的虐待を受けた未成年の身元を裁判資料に掲載するというミスが頻発している。直近の事例では、FBI(連邦捜査局)と国土安全保障省が、被害者の本名が記載されたフェイスブック・プロフィールのリンクを掲載していた。