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2022.01.13

「上司という最大のストレス」にどう向き合うか|元アマゾン産業医の相談室 #6

連載「元アマゾン産業医の相談室」サムネイルデザイン=高田尚弥/高山尚子

優秀で真面目な人ほど心が折れやすい──。これは、多くの専門家が指摘していることだ。他人への気配りや協調性が高い性格の持ち主は、その傾向がさらに高いと言われている。

世界最高峰の企業、アマゾンジャパン、エクソンモービルなどで超多忙なビジネスパーソンたちの心をプレッシャーから守る任を負い、多くの社員と面接をしてきた産業医の鈴木英孝先生に、「自分の心を守りながらパフォーマンスを上げる方法」を連載でご執筆いただく。6回目の今回は、ビジネスパーソンであれば誰もが逃れられない「上司との関係からくるストレス」とのつきあいかたについてのアドバイスだ。


「上の立場」から受けるストレスは太古の昔から


ヒトが集団生活を行うようになったのは今から20万年前といわれています。集団生活が進むに従って、「上の立場」と「下の立場」という社会的な序列が発生し、ヒトとヒトとの間に起因する葛藤を感じるようになったと考えられます。

ですからいわば、太古の昔から「上の立場」の者からのストレスに悩むことは繰り返されており、私たちが社会生活を続ける限りは、上司との関係によるストレスから離れることはできないでしょう。普遍的な解決方法があったならば、この問題は既に解決されているはずですから。

「対人関係」ストレス、実態調査でも如実に


厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査 令和2年)」では、仕事や職業生活に関する強いストレスの内容(複数回答)は、仕事の質・量(56%)、仕事の失敗・責任の発生(35%)、対人関係(27%)順になっていて、対人関係は第3位になります。対人関係の中では、上司との関係にストレスを感じている方は多いことがわかります。

また、チューリッヒ生命の「2020年ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査」では、仕事をするうえでストレスを感じる1番の要因として、給与・賞与(金銭面)(22%)、仕事内容(18%)、上司・部下以外の社内の人間関係(15%)、上司との関係(11%)に続いています。どちらの調査でも人間関係(対人関係)は重要なストレス源になっていました。

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「困った上司」にもいろいろある


ストレスを感じさせやすい上司のタイプを考えてみました。1.部下の手柄を横取りしている、2.精神論で仕事を進める、3.機嫌が悪い・感情的に仕事をする、4.業務指示があいまい・具体性に欠ける、5.部下の意見や提案に耳をかさない。

このような上司と仕事をした経験がある人もいると思います。「タイプ別・上司の対処方法」などを説く記事を見かけることがありますが、現実はそれほど簡単なことではありません。どのようなタイプの上司であれ、自分としての対処方法を用意しておくとよいでしょう。
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文=鈴木英孝 編集=石井節子

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