相手が仕掛けた「ゲーム」に乗らない。謝りすぎない
上司への不満と付き合う際には、「物理的」にも「心理的」にも上司との間に適切な「距離」を設けることが重要です。
とくに前述した「困ったタイプ」のうち、3.機嫌が悪い・感情的に仕事をする、5.部下の意見や提案に耳をかさない、といった上司の場合、できるだけ2人きりにならない、1対1になる場合にはオープンスペースで打ち合わせを行うことです。オープンスペースでは周りの目があるので、上司も失礼な態度を取ることは難しいでしょう。
その点テレワークは、上司との「物理的な距離」を保つことができるので、ストレスの軽減に役立ちます。些細なミスを執拗に攻め続ける上司に対して、その場を収めるために、何度も謝まるなどの対応を取ってしまうと、相手のパターンに取り込まれてしまい、攻撃(口撃)のきっかけを与えてしまい、逆効果になります。
相手が仕掛けた「ゲーム」に乗ってしまわないように、「心理的な距離」をとることです。相手の立場を尊重しつつも、相手に対しては慌てず冷静にミニマムな反応をするよう心がけてください。
失礼のない範囲で謝っておいて、ミスに関する解決方法を上司からのアドバイスとして語らせるように話を進めることです。自分と上司との距離(ポジション)を離すことで、相手の仕掛けた「ゲーム」に乗らずにすむのです。
オンラインの会議は「オーバーアクション」で
コロナ禍をきっかけに、テレワークの導入が進んでいます。筆者の場合も、クライアント先の社員との面接はオンラインで、が増えています。
私がオンライン面接の場合に心がけているのは、対面の面接よりも「オーバーアクション」であることです。モニターを介した2次元の面接を、立体感のある3次元の面接に「魅せる」ために「オーバーアクション」は欠かせません。具体的には、頷き(うなずき)は意識して大きくする、身振り手振りを多用する、といったことです。微妙な表情がわかり難いという、オンライン面接のデメリットを補うための、筆者なりの「工夫」です。
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上司からのストレスを軽減するためにも、自分の置かれた環境に合った、自分に適した方法を見つけ、上司との間に適切な距離を取れることが求められます。
今回の記事が、上司との関係性に悩む方にとって少しでも役立つことを願っています。
鈴木英孝◎1993年産業医科大学卒業。米国総合エネルギー企業エクソンモービル社日本法人、アマゾンジャパン合同会社でのグローバルな産業保健活動を経て独立、現在アッシュコンサルティングサービス代表として、クライアント企業に対して産業保健のコンサルティングを提供している。専門は職域の感染症管理、健康経営、化学物質管理、喫煙対策などを含む「産業保健」。