アレマンは、消費者は身につけるものに機能性を求めるようになっていると述べ、Onの場合、ランニングシューズのラインナップの拡充に加え、パフォーマンスモデルに採用されているものと同じ技術を用いながら「ライフスタイルシューズ」感もある「エブリデー(毎日の)パフォーマンス」という仕様の製品によって、そうした要望に応えていると説明する。フェデラーとコラボレーションして開発したスニーカー「The Roger(ザ・ロジャー)」もまさにそうした製品となっている。
THE ROGER Pro (c) On
Onはテニスとのつながりも保ちながら、引き続きランニングやフィットネス関連の商品も充実させていく予定だ。2022年3月には、CloudTecを2層に配置し、これまでで最大のクッション性を実現した「Cloudmonster(クラウドモンスター)」シリーズを発売する計画。マウラーによると、ブランドのルーツがスイスにあることもあり、アウトドア分野も引き続き重視していくとのことだ。
2022年初めには、100%リサイクル可能なシューズ「Cyclon(サイクロン)」も登場する見通しとなっている。植物由来のこのシューズは、購入して保有するのではなく、サブスクリプション(定額課金)サービスで利用する。履きつぶしたシューズを返却すれば新たなシューズがユーザーのもとに届き、戻されたシューズはOn側がリサイクルする仕組みだ。
Onはシューズの各分野でプレゼンスを高めつつアパレル分野も強化していく方針だ。「アパレルでも高い品質を保ち、技術は惜しまない」とマウラーは強調する。
IPOから今後の計画まで、Onが中心に据えるのは成長だ。アレマンは「将来の選択肢についてはいろいろなことが検討されています。今やっていることはほんの始まりにすぎません」とも述べている。Onは現状では取引の49%を米国からのものが占めているものの、世界全体にリーチを広げ続けている。
調査会社NPDグループのマット・パウエルによると、Onは専門ランニング市場でのシェアがより広範なランニング市場でのシェアよりも高いが、米国に進出しているスポーツシューズブランドの上位25社のなかでは最も速く成長している。パウエルは、Onが今後、より広範な市場を狙いに行くのは「正しい」戦略との見方を示している。