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石油ポンプ(Getty Images)

アラブ首長国連邦(UAE)の高官は先日、UAEが近いうちに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標として設定する可能性を示唆した。これは、破壊的な影響をもたらしかねない気候変動抑制のため、各国に取り組みを強化する圧力が高まっていることを改めて示すものだ。

現在、こうした目標は一般的になりつつある。2015年にこの目標を掲げた政府は3カ国だけだったが、それが現在では40カ国以上になった。UAEは主要産油国として初めて、温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す国となるだろう。

とはいえ、こうした目標は必ずしも初めに感じるほど野心的なものとは限らない。たとえUAEが目標を設定したとしても、同国の領土で生産され世界中で消費される石油やガスは考慮されないことがその理由だ。石油メジャーBPがまとめたデータによると、UAEは昨年、日量約370万バレルの石油と、約554億立方メートルの天然ガスを生産した。

中東の他の大きな産油国と同様、UAEは厳しい立場にある。経済の多様化プログラムに繰り返し取り組んできたにもかかわらず、こうした国々は今でも石油とガスから得られる収入に大きく依存している。

世界の石油・ガスの需要が上昇傾向にある限り、こうした国々はそこから得られる収入を拒否することは全く望まないはずだ。国と市民の間に存在する寛大な「社会契約(手厚い福祉を受ける代わりに国家に服従することで、政治・経済的に大きな影響を持つ)」の資金を提供する代替策が準備できていない場合はなおさらだ。

UAEと近隣諸国は、自国でもエネルギーを大量に使用している。国自体が裕福で過酷な気候条件であることから、国民は大きな車に乗り、エネルギー消費量が大きな空調設備や塩水脱塩工場に大きく依存している。世界銀行は、1人当たりの二酸化炭素排出量が世界で最も多い国として、カタール、クウェート、UAE、バーレーンを挙げた。

しかし、2030年に完成すれば5GWの発電能力を持つドバイのソーラーパークを含め大規模な太陽光発電所が稼働する中でいくつか顕著な進展もあった。UAEのアブダビは、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の事務局本部が置かれている場所でもある。

一方、いくつか失敗もあった。ドバイに100万本の木を新たに植える計画は、代わりに不動産開発の推進を優先する当局の犠牲となり、失敗している。

この状況で温室効果ガス排出量実質ゼロの目標を掲げることは、少なくとも重要な意思表示となるだろう。

翻訳・編集=出田静

環境問題

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