つまり問題は、燃え尽き症候群が解決不能であることではなく、燃え尽き症候群を解決するために効果的な研修を実施している企業がたった24%しかないことなのだ。
リーダーは、従業員の燃え尽き症候群を緩和するための手段を講じることができるはずだ。だが、彼らは燃え尽き症候群の兆候を発見できるだろうか? 例えば前述の研究で、燃え尽き症候群に苦しむ従業員は、疲労、ストレス、重圧、フラストレーションといった単語を口にする傾向にあるとわかっている。リーダーは、部下との会話の中で、こうした単語に気づけるだろうか?
また、従業員のレジリエンスや楽観思考を高める教育に投資しているだろうか? リーダーに問題があったとしても、個々の従業員は、簡単なエクササイズを行うことで、自分自身の精神状態を改善することができる。例えば、朝にメールチェックするのをやめ、代わりに「これさえできれば今日はいい日だ」と言えるような、その日の目標を1つか2つ考えることで、従業員の自己効力感を高め、燃え尽き症候群を抑制できるのだ。
従業員に対して、「自分でコントロールできることだけに集中する」よう教えることには、絶望感や無力感、つまり燃え尽き症候群をすぐに減らす効果がある。
要するに、大きな問題は、どうすれば燃え尽き症候群を減らせるかではなく、CEOをはじめとする経営陣が、燃え尽き症候群の抑制を優先課題と考え、積極的に投資するかどうかなのだ。優秀な社員の大量離職を避けたいなら、この支出には莫大な費用対効果がある、とデータは明確に示している。