スッドは、ミシガン州フリントにあるインド人コミュニティで、両親が共に移民で医者という家庭に育った。ペンシルベニア大学ウォートン校を出て投資銀行でM&Aを手がけた後、ハーバード・ビジネス・スクールで学び、アマゾンの玩具のバイヤーなどを経て、Vimeoに入った。
入社後1年でスッドは、あることに気づいた。
「家族経営の事業からハイテクのスタートアップ、大手企業まであらゆる事業が投稿していました」
調べてみると、そうした新規顧客はVimeoを使ってマーケティング・ビデオをフェイスブックやツイッター、自身のウェブサイトに投稿していた。
「手付かずの莫大な数のユーザーがいたのです」
彼女のチームは企業がロゴをアップし、「いますぐ購入」ボタンを挿入し、動画にeメール・キャプチャー機能を追加するためのツールを開発した。
パンデミックで、Vimeoの需要には拍車がかかった。「一夜にして動画は『あればいい』から『なくてはならない』ものになりました」
スッドはいま、ポストコロナのハイブリッドな勤務形態ではビデオの優位性が加速すると考え、バーチャルなイベントやミーティングをもっとインタラクティブで親密かつ協調的なものにしようと画策中だ。また、AIを使ったマーケティング・コンテンツの作成ツールにも取り組んでいる。
スピンオフは目前に迫っている。
アンジャリ・スッド◎VimeoのCEO。ミシガン州フリント出身。マサチューセッツ州のエリート校フィリップス・アカデミー・アンドーバーを経て、ペンシルベニア大学ウォートン校を卒業。Vimeoへの入社から4年足らずでCEOとなった。