米コロナ感染者、再び20万人超える見通し 「ピークアウトの兆しなし」

米国立衛生研究所のフランシス・コリンズ所長(Getty Images)

米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は15日、米国内の新型コロナウイルスの1日あたり新規感染者数は近く20万人を超えるとの見通しを示した。ワクチンの接種を受けていない人たちが、感染力の強い「デルタ株」にかかりやすい状態にあるとあらためて警鐘を鳴らした。

実際に20万人を超えれば今年1月以来となる。米国の1日あたり感染者数はすでに7月30日、それに迫る19万4608人を記録しており、冬の間に感染が拡大していた1月16日以降で最多を更新していた。

コリンズはFOXニュースの番組で、最近の感染者急増について「伸びは急激に上向く方向にあり、ピークアウトする兆しもない」と説明し、数週間のうちに1日あたり新規感染者数が20万人を超えないとすれば「驚きだ」と述べた。

また、ワクチン未接種の国民9000万人がウイルスの「格好の餌食」になっているとし、「われわれは苦境にある」と現状に危機感をあらわにした。

これに先立ち、米国の感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士や、トム・フリードマン元米疾病対策センター(CDC)所長らも、1日あたり感染者数は20万人を超えるとの見通しを明らかにしていた。

ニューヨーク・タイムズの集計によれば、米国内の新型コロナウイルスの感染者数は過去2週間で65%、死者数は113%、入院者数は65%それぞれ増えている。ミネソタ大学感染症研究・政策センターのマイケル・オスターホルム所長は、現在の感染急拡大は向こう4〜6週間続きそうだとNBCテレビに話している。

ホワイトハウスの12日の発表によると、過去1週間の新型コロナウイルス感染症による新規入院者数のうち、4割はテキサスとフロリダの2州のものだった。コリンズは両州で共和党の知事がマスク着用の義務づけを禁止したことに言及し、「政治や分極化が単純な公衆衛生措置の妨げになるのはじつに不幸なことだ」と語った。

ワクチン接種率の低い州で感染者が急増するなか、未接種だった人もここへ来てようやく接種を受け始めている。ホワイトハウスの当局者によると、アーカンソー州のワクチン接種数は以前の3倍、ルイジアナ、アラバマ、ミシシッピ各州では4倍に増えている。

編集=江戸伸禎

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