ロボット支援手術と人間による手術はどちらが優れているか

VCG/VCG via Getty Images


術後2年以内の死亡リスクについても、各手法とも3%から5%台と、大きな差は見られなかった。ロボット支援手術もしくは腹腔鏡手術から開腹手術への切り替えが必要となる可能性は10%台だった。

一部の研究によれば、ロボット支援手術のほうが開腹手術よりも手術時間が長く、腹腔鏡手術より30分、開腹手術より1時間以上も長い時間を要していた。手術が長時間化すること自体にもリスクがあり、麻酔からの覚醒に時間がかかったり、術後に肺炎や血栓などを発症したりすることがあった。

こうした最新研究を知ってしまうと、最新の『スターウォーズ』のドロイドに手術をしてもらうことへの同意書に署名するのをためらってしまうかもしれない。しかし、考慮すべきポイントはほかにもある。たとえば、テクノロジーは外科医のテクニックの代わりにはならないとはいえ、外科医がロボット支援手術を定期的に手がけているうちに、技術には徐々に磨きがかかっていく。そうなれば、手術時間が短縮され、合併症の発生が大幅に減り、術後の経過も改善されていくだろう。

また、どのようなテクノロジーにも当てはまることだが、学習曲線が存在する。優れた技術を持つロボット外科医は、研究室の外科手術シミュレーションで何時間も訓練を積んでいるし、それ以降も、患者の転帰向上を目指して技術や手法の手直しを続けている。ロボット支援手術は「ごくたまに」行う手術ではない。少なくとも、手術を成功させたいと考えている外科医の場合はそうだろう。

実際には人間が行っているとはいえ、「ロボットが行う手術」と聞くと、魅力的だと考える人もいれば、ぞっとするという人もいるかもしれない。しかし重要なのは、舵取りを行っているのは人間であり、彼らは、手術技法を「置き換える」ためではなく、手術技法を「高める」ためにロボットを活用しているということだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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