教育現場で活かされる、デジタル時代のモノづくり
SaaSやAR技術の浸透によりあらゆる経済活動への『ウーバー・エフェクト』を目指すと同時に、教育現場へのPTCの働きかけも「TECH for Good」を促進している。PTCではコロナ禍で授業がそれまで通り実施できてない学校へも積極的に支援を行い、SaaS型CADであるOnShapeを米国国防総省が推進するSTARBASE、MIT、そして高校など含めて100万人以上の学生に活用してもらっているようだ。シンプルなCADソフトであるOnShapeを学生時代から使うことにより次世代のモノづくり市場をデジタルで作り上げる土台を作っているとも言えるだろう。
利用している学生からは「別々の場所から参加している学生同士が連携し、みんなで協力して設計(デザイン)できるところが信じられないほどよい。」、「SaaSでオンライン上にあるので、どんなマシンからもアクセスできるし、同じタイミングで他の学生と一緒にアクセスして、一緒に作業できるところがすごい。皆で共同プロジェクトを完成させるスピードがほんとに早い。」、「ラボにいる必要はなく、外にでて、解放感いっぱいのところで作業が可能。でも、他の生徒とはそのままつながりながら一緒に作業できるところが魅力。」などの声が寄せられている。
最後にPTCジム・へプルマンCEOに「TECH FOR GOOD」への想いを伺った。
「パンデミックが起こっている今こそが、まさに、PTCが最も強く『Tech for Good』の必要性を感じた瞬間でした。今回のパンデミックでは、どの企業も前例のない課題に直面しましたが、PTC独自の手段で、世の中の力になりたいと心から思いました。パンデミックがはじまった初期段階で、迷わず英国の『VentilatorChallengeUK *』に賛同し、呼吸器メーカーと共に1万台の人工呼吸器生産に貢献したのですが、テクノロジーを応用し人名救助につなげることができたことへの喜びはとても大きかったです。」
*「VentilatorChallengeUK」はイギリス製造団体が、航空宇宙メーカー、自動車メーカー、医療機器メーカーに、通常業務を離れ人工呼吸器の生産に注力するよう呼びかけ、企業が賛同、協力する取り組み。PTCは医療企業と組み、ARを活用して人工呼吸器の組立手順や生産工程を段階的に録画解説し、それを医療機器の製造に不慣れな他業界の1,000人の生産スタッフへ提供。これにより、生産できる人員数が増え、スムーズな人工呼吸器生産が実現し、COVID-19危機の最中の一万台生産に貢献したという。
いままで製造業向けソリューション、B2Bビジネスというと自分には関係ないと思っていたのだが、PTCジム・へプルマンCEOの企業姿勢、SaaS/AR技術への未来ビジョンを聞いているとグローバルで活躍するテクノロジー企業だからこそできるテクノロジーの民主化へのアプローチ、そして産業界の壁を溶かして多くの人々が経済活動に参加できる仕組みを構築できるのではないか?と考える。
また、私たち市民がこれからの社会・経済活動へ積極的に参加方法を考える際に、企業の活動を把握することも重要なのかもしれない。PTCジム・へプルマンCEOとの対話は今まで見えてなかったB2Bテクノロジー企業の社会インパクトを考える良い機会となった。この記事を読んでいる方にも少しでも「TECH FOR GOOD」の萌芽をお伝えできていれば幸いである。