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2021.09.04 08:00

パタゴニア、シーフード缶詰で「食」に参入 売上前月比1200%も

(C)2021Patagonia, Inc.


「陸上養殖はむしろ支持」


プロビジョンズはすべての養殖が悪いと言っているわけではない。「われわれは常に学んで進化している」とキャメロンは言う。むしろ、野生種の数に影響を与えないという理由で、陸上養殖を支持している。「今後5年以内に、陸上養殖はなくてはならないものになるはずだ。特に食の安全面から言っても、実現可能な選択肢と言える」
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パタゴニアは海面養殖の完全廃止を提唱している(Christopher Furlong/Getty Images)

パタゴニアは事業を通じて、環境問題に対する自社の理念を具体化している。社会および環境を尊重する経営を行う企業に与えられるB corp認証も取得した。「食は今日の気候問題の大きな要因のひとつとなっているから、その問題をさらに深く掘り下げていきたかった」とキャメロンは言う。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む──これがわが社のミッションステートメントだ」その地球の70%は海で覆われているのだから、シーフードの世界に足を踏み入れるのは理にかなっている。

パタゴニア プロビジョンズでは、ワイルド・フィッシュ・コンサーバンシーと協同で作った基準をもとに、野生の魚介類の捕獲地域を定めた。対象となる種だけを捕獲し、小さすぎる個体や対象外の種をリリースする場合に魚たちにかかるストレスを最小限に抑える漁法を採用する。そうした漁獲法を世間に広めて、他社が追随するように望んでいる。「良いことをして利益をあげられるとわかれば、希望も見えてくるのではないだろうか」
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コロナ禍で需要拡大。アンチョビ、ムール貝など新製品続々


最初の製品が発売されたのが2013年で、現在プロビジョンズが扱うシーフード製品は10種類を超えている。最近新たに加わったのがサバで、11月にはスモークフレーバーの新製品が発売される。今年はホワイトアンチョビも登場する予定だ。「ツナなど従来のものではなく、アンチョビ、ムール貝、サバといった目新しいものも、おいしいのでぜひ試してほしい」とキャメロンは言う。環境を破壊せずに再生することに重きを置きながら、今後も取り扱い商品を拡大していく予定だという。


Amy Kumler(C)2021Patagonia, Inc.

新型コロナウイルス感染症の流行により、常温保存が可能で良質のタンパク質を摂れる食品を買いだめする動きが広がった。パタゴニア プロビジョンズの3月、4月、5月の売上げも大きく伸びている。「この危機にあたって、シーフード事業は間違いなく成長している」とキャメロンは言う。実店舗を避けてオンラインで食料品を買う人が増えるにつれ、パタゴニア プロビジョンズのオンラインでの売上げも、3月が1200%、4月が600%、5月が300%と躍進している。

翻訳・編集=寺下朋子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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