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2021.09.04 08:00

パタゴニア、シーフード缶詰で「食」に参入 売上前月比1200%も

(C)2021Patagonia, Inc.

(C)2021Patagonia, Inc.

けっして安くない価格と、ひと目でそれとわかるおしゃれなラベルから“パタグッチ”の愛称で呼ばれる〈パタゴニア〉は、数十年にわたってアウトドアグッズを作ってきた。それがいま、子会社のパタゴニア プロビジョンズを通じてシーフードの販売を始めている。その使命は、壊れた食物連鎖を修復し、環境破壊や気候変動をもたらす持続不可能な活動を回避することだ。

「わが社の歴史上、最も重要な実験」、パタゴニア プロビジョンズ


パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードは同社が出資した映画『未開の領域(Unbroken Ground)』のなかで、食品部門への進出を「わが社の歴史上、最も重要な実験」と位置づけた。プロビジョンズの事業は、網いけす養殖に対するパタゴニアの断固とした態度を反映したものだ。パタゴニア製作のドキュメンタリー映画『アーティフィシャル(Artifishal)』(2019年)は、サーモンの孵化場と網いけす養殖場が野生サーモンの数の減少を招いていると厳しく指摘している。

この映画は、養殖業者側の視点を描いておらず偏向的だと批判された。パタゴニアは海面養殖の完全廃止と、環境への負荷が低い方法を使った野生種の捕獲を提唱している。「サーモンなどの大型魚の野生種を将来も残したいなら、これまでとは違う捕獲方法を考えなければならない」と、パタゴニア プロビジョンズの責任者バーギット・キャメロンは言う。「正しい捕獲方法を続ければ、将来的には十分な数まで戻すことができるだろう」


Amy Kumler(C)2021Patagonia, Inc.

これに対して海面養殖業界は、近年の技術進歩によって業界全体のサステナビリティーが大きく向上したと主張し、もっと細部まで踏み込んだ検討が必要だと主張している。また、パタゴニアは環境問題にかこつけて自社製品の売上げを増やそうとしているとの批判も聞かれるが、これに対してキャメロンは強く反論する。「商品を売ることが目的ではなく、わが社の信念を伝えたいのだ。映画の中の対話を聞いてほしい」

野生魚の非営利保護団体、ワイルド・フィッシュ・コンサーバンシーの責任者カート・ビアーズリーも同じ考えだ。「この映画は、地球をもっとサステナブルにするためには何をすべきかを説明しようとしている。その主張は学術文献などよりかなり穏健だと思う」
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翻訳・編集=寺下朋子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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