ビジネス

2021.08.14 10:00

オハイオ州コロンバス市に、米国内と日本から人と金が集まる5つの理由


最近では、病院の日常業務の自動化を支援し、医療費を管理業務から実際のケアに振り向けることを目指すOlive AIの評価額が、2020年12月に15億ドルになり、2021年7月には40億ドルに急上昇している。同社のソフトウェアは、米国の600以上の病院で、保険請求やサプライチェーンのデータ分析に使用されている。VCによる生涯資金調達額の86%(3億8500万ドル)は、コロナ渦で調達に成功した。

コロンバスには、米国最大の非沿岸部ベンチャーキャピタルファンドであるDrive Capitalをはじめ、Rev1 VenturesやNCT Venturesなどの企業があり、過去10年間のベンチャーキャピタルの成長がスタートアップ界を盛り上げている要因の1つである。

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オハイオ州ニューアルバニーには巨大なFacebook Data Centerもある。

4. 海外スタートアップのアメリカ市場拡大にも適する


また、当地域は、海外のスタートアップにとって、アメリカ市場を拡大・成長させるために非常に有利な場所でもある。例えば、スウェーデンのフィンテック企業であるKlarnaは、コロンバスに米国本社を設立してから5年間で、米国のユーザー数を2倍の1500万人に増加。スコットランドのブルワリー「BrewDog」は、2017年にコロンバス地域に米国の本拠地を開設し、その後、米国最大のクラフトブルワリーの1つとなっている。

5. 日本企業も注目し、日本人コミュニティも充実


当地域は、日本の海外直接投資(FDI: foreign direct investment)の主要なターゲットとなっており、100社以上の日系企業がこの急成長中の都市圏に多額の投資を続けている。

当地域最大の外資系企業は、Honda of America Manufacturing Inc. で、1万人以上のフルタイム従業員を抱えている。

他にも、2000人以上の現地従業員を雇用するTS TECH Co., Ltd.や、1988年に事業開始してから十数回の事業拡大を行ってきたるJefferson Industries Corporation、セントラルオハイオで30年以上にわたり事業を展開するTosoh America Inc. などがある。

また、大規模な日本人駐在員コミュニティやセントラルオハイオ日米協会(JASCO)のような日本とコロンバス地域のコミュニティを結ぶことを目的とした機関があり、アメリカ生活へのスムーズな移行を支援する日系団体の数も増加しているため、ビジネスエグゼクティブやその家族が地域に溶け込むことも容易だ。

ここまでコロンバス地域の魅力をお伝えしてきた。日本人が米国でのビジネスを考える際には、東海岸ならニューヨークやボストン、西海岸ならLA、サンフランシスコや、最近はテキサスを思い浮かべることが多いだろう。しかし、既に日系のグローバル企業が進出してるエリアを調べることも、これからのスタートアップ企業や米国進出を目論む企業にとって優れた指標となる。コロンバスも選択肢の1つにぜひ入れてみてはいかがだろうか。

連載:イノベーション・エコシステムの内側

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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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