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2021.07.05 16:15

コロナ禍で反転。イスラエルで起きるスタートアップへの大量の資金投下

photo by KingMatz1980 / iStock

コロナ禍前までのイスラエル経済は、人口増加とハイテク/スタートアップ産業が牽引する形で非常に順調で、過去17年にわたってマイナス成長は一度もなく、ここ数年は成長率3~4%台をキープし、失業率も3~4%台と完全雇用状態にあった。

コロナ禍とイスラエル経済の現状


しかし、新型コロナウィルス蔓延以後、計3度の経済封鎖・ロックダウンの影響もあり、2020年の成長率はマイナス2.6%となった。今年第1四半期の成長率も、昨年末から今年2月まで続いた3度目のロックダウンの影響等もあり、年率マイナス6.5%だ。更に、形式的には雇用契約が維持されながらも、「無給休暇」という形で実質的には失業状態に陥る労働者も増加。こうした人々を含めた「広義の失業率」は、2020年末で12.9%に及んだ。

特に、ロックダウンの影響を直接的に受けた飲食業、宿泊業、観光業、娯楽業等といった業種における影響が深刻で、こうした相対的に低賃金な業種の労働者が無給休暇を強いられて労働市場からの退出を余儀なくされている。一方、ハイテク産業はコロナ禍にあっても成長を続け、見方によっては過去最高の好調であり、相対的に高賃金な労働者の賃金がさらに上昇。もともと課題であった経済格差がさらに拡大した。

現在は、急速なワクチン接種の普及によって、経済は回復傾向だ。6月に入ってからはコロナ関連の規制はほぼ全て撤廃され、国内の経済活動は回復の軌道に乗っており、2021年の成長率は5~6%ほどになると予想されている。

昨年から今までのスタートアップ投資額は?
現地のVCやCVC、シリコンバレーと日本からの投資活発


イスラエルのハイテク/スタートアップ産業は成長を続けており、2020年の資金調達は607件102億ドルと、件数・金額ともに過去最高を記録。さらにこの勢いは今年に入って加速し、6月8日までの時点で資金調達額は105億ドルと、既に昨年全体の投資額に匹敵する結果だ。投資の多くは引き続き米国をはじめとした海外投資家によるもので、デジタルヘルスやサイバーセキュリティ等の領域において、イスラエルが強みを有していることが要因だ。

一方、こうした投資金額の増加は、主としてレイターステージにおける一部の巨額調達案件が牽引していることに注目したい。今年に入ってからの資金調達額の半分以上が、1億ドル以上の調達案件によるもので、1件当たりの調達額の中央値も昨年の2倍以上。ナスダックやテルアビブ証券取引所での上場も記録的ペースで、週に1社の割合でユニコーン企業が誕生しているというデータもある。

コロナ禍によって事業会社が判断をより慎重に行うようにした結果、スタートアップは上場やさらなる成長を目指さざるを得なくなり、それが世界的な株高やオルタナティブ投資への需要にうまくマッチしたようだ。

日本からの投資も堅調だ。在イスラエル日本国大使館一等書記官(経済担当)栗田宗樹氏は言う。

「在イスラエル日本国大使館では、2020年の日系企業によるイスラエルのハイテク企業への投資は47件5.7億ドルとみている。金額こそ前年比25%減だが、件数は過去2番目の多さであり、コロナ禍にあっても日本企業によるイスラエルへの関心が衰えていないことがうかがわれる。

昨年は、住友商事によるイスラエル向けCVCの組成、チャータードグループやアリスタゴラ・アドバイザーズによる主として日本企業をLPとするイスラエル向けVCファンド組成、イスラエルの大手有力VCであるOurCrowd本体へのオリックスによる投資といった動きもあり、今後も日本からの投資継続が期待される」
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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