後払い決済というシステムが登場した際には、批判が集まった。とりわけ、お金がない人に買い物を促すという点が反発を呼んだのだ。
コンサルタントのジュディ・ヴィーは、こうした流れについて「心配だ」と述べ、後払い決済サービスは単なる「新時代のクレジットカード」だと切り捨てる。
「パンデミックが始まってからの1年半で私たちが学んだことがあるとすれば、経済的に自立し、お金に困っても立ち直れる力をつけておくのがいかに重要かということだ。そうした経済力があれば、先が見えない状況でも耐え抜くことができる。いまや少なくとも、経済的に不安定な状況が起きうることがわかっている」
その一方で、後払い決済サービスには、従来型のクレジットカードにはない明らかなメリットがある。クラーナUKのマーシュはこう話す。
「後払い決済サービスは、必要に応じてクレジット(信用貸し)を利用できるという、消費者にとってはより便利で持続可能な方法だ。後払い決済サービスなら、買い物客は利息を払わずに分割払いができる。クラーナなら手数料もいらない。つまり、消費者が負う負債は、購入した商品の代金だけということだ。経済調査企業キャピタル・エコノミクスの推定では、2020年の後払い決済サービス利用額がすべてクレジットカードで支払われていた場合、消費者は利息だけでも7600万ポンドを負担しなければならなかった」
一方、ジルチのベラマントは、「クレジットカードのビジネスモデルは、期日までに支払えない買い物客に依存している。そうすれば、利息や手数料を請求できるからだ」と話す。
「それに対して後払い決済サービス企業は、これまでは複雑なシステムだった業界に透明性をもたらした。返済プランには明確なルールがあり、利息はゼロで、手数料なしと、わかりやすい。従来のクレジットカードとは異なり、後払い決済サービスのビジネスモデルが依存しているのは、毎回つねに期日までに支払える消費者だ。彼らにとっては、支払いを先延ばししても経済的なメリットは何もない」とベラマントは述べた。
若い世代がやりくりのためにサービスを利用
「若い世代は、現状をただ受け入れ、親たちもそうしたからといってクレジットカードを作るようなことはしない。彼らは、自分たちに適した、より使いやすく有益なツールを求めている」とベラマントは言う。
「Z世代とミレニアル世代は、お金を最も適切かつ簡単にやりくりできる手段を探し求めており、フィンテック分野にイノベーションを起こしている。この動きは止まらないだろう。個別のニーズに合ったかたちでお金を借りられる手段のひとつとして若者が頼りにしているのが、後払い決済サービスなのだ」