最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

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埼玉大学経済経営系大学院准教授の宇田川元一が、日本企業の問題と変革を「慢性疾患」というメタファーを用いて分析する。その処方箋とは。


組織変革、企業変革をテーマにした新刊『組織が変わる』(ダイヤモンド社)で書いたのは、前著『他者と働く』(NewsPicksパブリッシング)の読者の反応から、「対話」の大切さは理解したが、どう進めていいか、わからないという課題があるとわかったからだ。

今回の本では、1. そもそも組織は慢性疾患を抱えている、2. 組織の慢性疾患にも医療と同様に「セルフケア」が必要、3. セルフケアの対話のアプローチとしての「2on2」がある、という3点を軸に書いた。

日本企業は「慢性疾患」を患っている


日本企業における問題について、「危機感がないから変革できない」という議論がある。ただ、私の見解は違う。大企業はもちろん中小企業も含めて「変革しなければいけない」とどこかで感じてはいる。

例えば、既存事業の売り上げや利益が少しずつ下がり、一方で、画期的なイノベーションは出てきていない。手を打たなければいけないとわかっているにもかかわらず、変われない。その一連のサイクルこそが問題で、花粉症や生活習慣病、薬物依存症といった「慢性疾患」をメタファーに用いてこの問題点を指摘した。日々の悪化のスピードは遅いため危機感を持ちづらく、確実に悪化していくが、どこから手をつけたらいいかわからない問題だ。

であれば、どうすればいいか。慢性疾患に重要なのは「セルフケア」だ。慢性疾患は根治が難しく、ずっと付き合っていかなければいけない。だからこそ、みんなで問題に向き合い続け、症状が落ち着いていく状態である、寛解を目指す。

では、組織の慢性疾患におけるセルフケアとは何だろうか。

それが、今回紹介している対話の方法「2on2」だ。ナラティヴ・セラピーのカウンセリング方法をベースに開発した。ポイントは、自分ひとりの力で問題をすぐに解決しようとするのではなく、「そもそも何が問題なのか」、「どういうことが起きているのか」を他者の視点を借りながら、一緒に解き明かしていくことにある。

その過程で、セルフケアをするポイントが見えてくる。自分たちで問題に対して、できるところの積み重ねをして組織変革していこうというメッセージでもある。


文=揚原安紗佳

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