NHTSA(米国連邦道路交通安全局)は6月29日、レベル2以上の自動運転車(先進運転支援システムADASやレベル3~5の自動運転システムを搭載した車両)の製造元に対し、衝突事故の情報を得てから1日以内に、事故の内容を報告するよう命じた。
トランプ前大統領の政権下でNHTSAは、自動車メーカーの情報開示を企業の自主的判断に任せていたが、今回のアプローチはそれを大きく前進させるものとなる。
「事故報告を義務付けることで、NHTSAは重要データにアクセスできるようになり、安全上の問題を迅速に特定することが可能になる」と、NHTSAのスティーブン・クリフ局長は声明で述べた。
米国運輸省のピート・ブティジェッジ長官は、先日のTheVergeのインタビューで、「既存の権限を利用しつつ、それを更新し、踏み込んだ調査を行う必要がある」と述べていた。
NHTSAの新規則は、公道で発生した事故の報告について、以下のガイドラインを定めている。
・レベル2以上の自動運転支援機能が搭載された車両が絡む、死亡事故、入院事故、エアバッグの展開、歩行者や自転車が巻き込まれた事故については、事故の発生を知った日から1日以内に報告しなければならない。
・自動運転システムを搭載した車両が関与した怪我や物的損害を伴うすべての事故について、メーカーは毎月、報告書を提出しなければならない。
・報告書は新たな情報が入手出来次第、更新しなければならない。
・自動車メーカーは、NHTSAのフォームを用いた電子レポートを提出しなければならない。
6月初め、NHTSAは、2016年以降に10名の死亡者を出したテスラの衝突事故と先進運転支援システムの使用について、30件の調査を開始したと発表した。同局は、GM、トヨタ、ボルボカーズ製の車両が関与した他の6件の事故についても調査を進めている。
消費者保護団体のThe Center for Auto SafetyのJason Levineは、「米国において自動運転は、住民への警告も、データの収集もないまま公道上で実験が進められてきた。そこに連邦政府が関与することを求める声に、当局はようやく耳を傾け始めた」と述べた。