情報自由法に基づく請求で開示された契約文書によると、グーグルは、パートナー企業でバージニア州レストン本拠の「Carahsoft」を通じて、国防総省傘下の米北方軍(USNORTHCOM)に250万ドルでAI技術を提供していた。北方軍は、国土安全保障の一元的な指揮統制機能を担っている。契約開始は2020年5月で、契約期間は1年間とされていた。
それによると、グーグルのソフトウェアはデータの統合・融合・分析や重要情報の発信を行い、国防総省がパンデミックをはじめとする緊急ミッションに対応することを支援するという。北方軍は、同盟国や州当局などと協働する以外に、国防総省による災害救援活動を調整する役割を担っている。
契約内容には、国防総省がパンデミックに関連したスキルを保有する兵士や医療機器などのリソースを効率的に配分するためのAIソリューションが含まれる。このソリューションの開発は、マサチューセッツ工科大学のリンカーン研究所と共同で行われ、既存のデータセットやアルゴリズムにアクセスし、AIを用いてアルゴリズムの改良やテストを行ったという。この技術は、国防総省が将来のサプライチェーン問題を予測することにも使用できるという。
国防総省がグーグルに分析を依頼したデータの中には、地理空間情報が含まれる。このことから、AIツールが空中や宇宙から撮影した画像の分析にも用いられることが推測される。
フォーブスは以前、アルファベット傘下のGV(旧グーグル・ベンチャーズ)が出資するAIスタートアップが国防総省向けにあらゆる地理空間データのモニタリングを行っていることを明らかにしていた。
契約では、国防総省がグーグルのツールを同省内や連邦、州、民間、海外などの機関や組織でも利用できると定めている(グーグルは、顧客の許可を得ずに契約内容を公表できないとして、コメントを拒否した)。