ビジネス

2021.07.05

フェイスブックはもはや法を超越しているのか?

Justin Sullivan/Getty Images

米国の連邦取引委員会(FTC)と40州以上の当局がフェイスブックを反トラスト法(独占禁止法)違反で訴えた裁判で、連邦裁判所は先月28日、同社の行為が事実上の独占に相当することを原告側が明確に示せなかったとの判断を下した。FTCは30日以内に訴状の内容を改め、再び提訴することができる。

判決を受けてフェイスブックの株価は4%上昇し、同社は初めて時価総額が1兆ドル(約110兆円)を突破。時価総額が1兆ドルを超えている企業はごく少数で、米国では同社のほか、アップル(約2兆3000億ドル)、マイクロソフト(約2兆ドル)、アマゾン(約1兆7400億ドル)、グーグルの親会社アルファベット(約1兆7000億ドル)と、いずれも大手テック企業であり、他の競合企業を大きく引き離している。

私たちは今、ペール・エスペン・ストクネスが著書『Tomorrow’s Economy: A Guide to Creating Healthy Green Growth(明日の経済 健全かつ環境に優しい成長を実現するためのガイド)』でデジタルとインターネットの波と表現した時代のピークにいる。過去に起きた革新の波には、電子機器・テレビ・航空機産業(1945~1990年)、産業(1900~1970年)、鋼鉄・蒸気・鉄道(1830~1900年)、機械化(1760~1830年)があり、それぞれに関わった大手企業に巨万の富をもたらした。それは現在の波でも同じだ。

しかし、新たなイノベーションの波を起こしている企業による支配がどのような影響をもたらすかを考えるべきだ。テクノロジー分野が大きく二極化している事実は、かつては革新的だったこうした企業が今ではイノベーションを阻んでいることを示唆している。こうした企業はその規模と財力により、業界で少しでも革新的な競合企業が出てくれば、買収あるいは模倣で対処できる。

こうした企業が現在の姿に成長してしまったのは、当局が何も対策を取らなかったことが原因だ。テック大手は今では数百万ドル(数億円)単位の資金をロビー活動につぎ込み、政治家を操っている。また、数百社の買収を次から次へと続けており、小企業の多くはテック大手に買収されるためだけにイノベーションに取り組む状態となっている。こうしてテック大手は、誰も手出しができない怪物になってしまった。
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編集=遠藤宗生

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