さらに、ニュースレターをフェイスブックのユーザー同士で簡単に共有したり、ニュースフィード上で発見することが可能だ。Bulletinはまず、米国限定のベータ版として始動する。
Substackは、著名な書き手を前払い金で呼び寄せて、読者数を増やしたことで知られている。フェイスブックも同様なアプローチを取り、Bulletinの始動にあたりベストセラー作家のマルコム・グラッドウェルや、ネットフリックスの人気リアリティ番組「クィア・アイ」で知られるタン・フランス、スポーツコメンテーターのエリン・アンドリューズなどと契約を結んでいる。
Substackの場合はニュースレターの売上の10%を、Revueは5%を手数料として徴収するが、フェイスブックのBulletinの書き手たちは、クレジットカードの決済手数料を除くすべての売上を、自分の報酬として受け取れる。さらに、Bulletinの書き手はフェイスブックのアプリの機能を、プロモーションに利用することが可能で、Facebookページにニュースレターを投稿したり、購読者限定のグループや音声チャットルームを作成できるという。
Bulletinの書き手は、ニュースレターの価格を自由に設定できる。また、購読者のリストは書き手に開示され、そのリストを競合のプラットフォームで利用することも可能という。
元CNNの司会者で、現在はフェイスブックのニュースパートナーシップの責任者を務めるCampbell Brownによると、Bulletinには地方紙の衰退によって生じた情報のギャップを埋める役割が期待できるという。
「パンデミックの中で、人々は自分たちのコミュニティに関するニュースを切望していたが、ローカルメディアの衰退により、必要が情報が届かなくなりつつある。Bulletinには、そのギャップを埋める効果が期待できる」と、Brownは述べた。
フェイスブックは会員数を増やし続けており、月に少なくとも1回以上ログインした会員の数は3月時点で29億人に達していた。しかし、同社はTikTokなどの競合との戦いにも直面している。
フェイスブックはかつて、インスタグラムやワッツアップなどの競合を買収したが、今回のBulletinの立ち上げからは別のアプローチが読み取れる。それは、競合を模倣するプロダクトを社内で開発していく姿勢だ。
ザッカーバーグは今回のBulletinの立ち上げのアナウンスを、同社のもう一つの新たなプロダクトであるLive Audio Roomsを通じて行った。Live Audio Roomsは、同社がクラブハウスを模倣して独自に開発した音声を用いた交流サービスだ。