「デジタル・ニューノーマル」では、誰もが生活の基本的なことに問題なく対応し、キャリアで成功を収め、自分の可能性を最大限に発揮できるようにするために、幅広いデジタルスキルを身に付けることが求められます。こうしたスキルの習得には、技術革新に後れを取らないようにするための生涯学習が必要になります。テックリーダーである私たちには、人々の利益のため、またアジアの競争力を未来に向けて維持するためにも、人々のデジタルスキルの習得を支援する責任があります。
未来のデジタル・エコノミーを担うアジア
スタートアップはイノベーターとして、また、ディスラプター(破壊的イノベーター)やファーストムーバー(先行者)として、経済において極めて重要な役割を果たします。幸運なことに、アジア地域には多数のスタートアップが存在します。2019年4月の時点で、世界の「ユニコーン企業」331社中、3分の1以上(119社)がアジアに拠点を置いていました(ユニコーン企業とは、企業評価額10億ドル以上のスタートアップを指します)。この10年だけでも、シンガポールを拠点とするライドシェアアプリの「グラブ」、インドネシアのオンラインマーケットプレイス「ブカラパック」など、アジア全域で複数のテックユニコーンが急成長し、既存プレイヤーに名を連ねています。
テックリーダーは、学生やスタートアップの優れたアイデアを支援するために、開発プログラムや発表の場のためのプラットフォームなどを提供することができます。ビッグテックはスタートアップや起業家の貴重な資金源、助言者であり、ビジビリティを高めてくれる貴重な存在です。チャンスをつくり、デジタル・エコノミーに必要なスキルを育成することは、私たちの責務であると考えます。
アジアには、高度なデジタル・インフラ、多様なスキルセット、強力なイノベーション文化など、21世紀の経済で成功するために必要な多くの要素がすでにあります。より包摂的な未来を築くためには、こうした強みに加えて、民間セクターのリーダー、各国政府、非営利団体の協力を土台としていく必要があるでしょう。
これこそ、ビッグテックが重要な役割を果たせる分野です。スタートアップや起業家、中小企業への投資、重要なスキルを訓練する機会の創出、信頼できるテクノロジーを利用したイノベーションの推進-これらを実行することで、私たちは、すべての人に成功のチャンスがある、活気にあふれたスキルベースの労働市場を生み出すことができます。
パンデミック後の包摂的なデジタルの未来は、私たちの手の届くところにあります。そして、アジアがこの道の先頭に立つことができるのです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
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