・新型コロナウイルスの感染拡大は世界経済に損害を与え、デジタルデバイド(情報格差)を一層表面化させました。
・デジタルエコシステムが構築されているアジアは、経済成長をリードする態勢が整っています。
・復興の鍵を握るテクノロジーは、雇用を創出し、革新的なスタートアップや中小企業に可能性を与えます。
パンデミック(世界的大流行)は数十万もの企業を窮地に追い込みました。さらに問題なのは、この1年半の新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響が、何とか持ちこたえた企業に不均衡な形で及んだという点です。デジタル技術は一部の企業が最悪の事態を逃れるのを助け、多くの企業の成長をも可能にしました。
しかし、課題は山積みです。雇用の回復と、将来性のある新たな雇用の創出が急務です。そのためには、デジタルスキルの格差を解消しなければなりません。並行して行うべきことは、経済を活性化するアイデアを見つけ、サポートしていくこと。スタートアップと中小企業(SME)は、こうしたアイデアを探し出す最適な場と言えるでしょう。
アジアは、最も長くパンデミックの影響に耐えている地域であり、その一部はいち早く景気低迷から脱却しています。もし、アジア地域の厚みのあるデジタルエコシステムと長年にわたり築かれてきたイノベーション文化を、スタートアップや中小企業の起業家精神と結び付けることができるなら、パンデミック後の経済回復においてアジアは世界をリードすることができるでしょう。
この実現に向けて、官民両セクター、特に「ビッグテック」企業が協力し、以下の3つの経済成長のドライバーに注力することが不可欠です。
・スタートアップと中小企業のデジタル・インフラへの良好なアクセス
・デジタル・エコノミーで活躍する人材のアップスキリング(技能向上)と、人材プールの拡大
・起業家を成功に導き、その企業を雇用創出の原動力に変える強力なスタートアップ・カルチャー
スタートアップ・中小企業の支援がチャンスに
野心あふれる多くのイノベーターがアジアに拠点を置き、地域の人々の生活と生計を向上させるために取り組んでいます。アジア太平洋地域において、中小企業は全ビジネスの97%以上を占めており、労働力全体の半分以上を雇用しています。スタートアップと中小企業は重要な成長エンジンであり、両者を支援することはすべての人の利益につながります。