Forbes JAPAN Web編集部

発表会に登壇した杉山文野、住友聡子、スタニスラブ・べセラ社長、松岡宗嗣(左から)

「アライ」という言葉をご存知だろうか。アライとは、「仲間」や「同盟」を意味する英単語「Ally」を語源にもち、LGBTQ+への理解者・支援者を指す。P&Gジャパンが15歳から69歳の5000人を対象にした「LGBTQ+とアライに関する全国調査」では、「アライ」というワードの認知率はわずか7.7%にとどまった。

「アライの考え方に共感する」と答えた2690人に、アライとして具体的な行動、例えば「性的指向や性自認に関する嫌がらせを止める」「性の多様性に関する自身の知識を深める」などの行動をとれているか、という質問をすると、約3割ほどの人しか実際に行動できていないことがわかった。

その理由としては、「身近にLGBTQ+の人がいない」「自分に何ができるかわからない」が2大要因であるという。

調査を行なったP&Gは、LGBTQ+のアライの輪を広げる「アライ育成研修」を開発し、社外への無償提供を開始することを発表した。同社が5月26日に開催した発表会には、一般社団法人fairの松岡宗嗣と、NPO法人東京レインボープライド共同代表理事でニューキャンバス代表取締役の杉山文野らが登壇し、LGBTQ+当事者としての自身の経験を交えて語った。

「自分の周りにいない」は本当か?


調査では、LGBTQ+層が自分らしく生きるのに最も苦労を感じるコミュニティは、20代以上の全ての年代で「職場である」と回答した。アライについて学ぶ育成研修を導入することで、誰もが最高の自分でいられる職場をつくる第一歩となることを目指す。

杉山は職場でのアライの重要性について「当事者からすると、言えないと言わないのは全く違うことで、言えない環境にいるのは不安を抱えながら過ごしているということ。理解を得られている、と心理的安全性が高まることは、その人自身のポテンシャルが上がることでもあります」と語った。

また松岡は「LGBTQ+当事者のほとんどがカミングアウトしにくいのが現状です。カミングアウトすることで自分が傷つくかもしれないし、他にもどういうリスクがあるかわからない。だからこそアライの方が行動で示してくれることが、当事者には重要になります。

メディアに取り上げられるような目に見えやすい課題は認識されやすいですが、自分のすぐ隣にいる人の困りごとは想像することができず、実際に自分の周りにはいないだろうと思ってしまうというギャップが存在します」と語る。

実際、調査に回答した人のうち9.7%が、自身はLGBTQ+であると回答し、そのほかの調査でも、日本の人口の1割程度がLGBTQ+であると言われている。対してストレート層(4514人)への「身近にLGBTQ +の人がいるか」との質問には「いる」が8.6%、「いない」が41.7%、「わからない」が49.8%となった。「いない」のではなく「見えていない」可能性があることが実態だ。

アライ育成研修は、講義とグループディスカッションなどのワークショップを織り交ぜて、参加型で行われる。P&Gが過去に行なった社内研修では、知識を得た後で実際にどのような行動を取れるのか、までを考える機会を設けることができなかったという。そうした社内での失敗事例も研修の題材として共有される。さらに、LGBTQ+当事者の声を研修内で聞き、具体的な行動のヒントを得られるように設計されている。知識を得るだけでなく、研修を通じて具体的なアクションに繋げることを目指す。

文=河村優

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