スペースXは、2019年5月にスターリンク衛星の打ち上げを開始し、将来的に4万2000基の衛星を軌道に打ち上げ、地球全体を網羅する高速インターネット網の提供を目指している。
同社はこれまでに1500基の衛星を打ち上げている。現在、スペースX以外の機関が運用している衛星の数は3000基で、すでにその半数に相当する衛星を打ち上げたことになる。スターリンクのユーザーは、月額料金99ドルを支払い、499ドルの端末を購入すれば、地球のどこからでも高速インターネットに接続できる。
しかし、スターリンクをはじめとする衛星コンステレーション(衛星の群れ)に対しては、夜空の見え方を大きく変えてしまったり、大気中のデブリ(宇宙ゴミ)が増加するなどの懸念が指摘されている。
FCCは先月、こうした懸念はないとの声明を発表したが、スターリンクの競合であるViasat社は、さらなる調査を行うまで、スターリンクによる衛星打ち上げを中止するよう求めている。Viasat社は米国政府や米軍に通信ソリューションを提供している。
ここで問題視されているのは、衛星の明るさだ。2年前にスターリンクの最初の60基が打ち上げられた際、それらの多くが光の筋のようになって夜空に出現した。最も影響を受けているのは天文学者だ。それらの衛星は、特定の天体を観測する夜明けや夕暮れに目立つ位置にあるため、彼らの仕事が妨げられているのだ。
衛星コンステレーションは天体観測だけでなく、一般人の夜空の鑑賞にも影響を及ぼすため、2020年初めにはNEPA(国家環境政策法)に違反している可能性が指摘された。現状で、FCCの活動はNEPAによる環境レビューの対象外となっているが、昨年ヴァンダービルト大学の法学部生であるRamon Ryanは、科学雑誌Scientific Americanに寄稿した論文で異議を唱えた。
「これらの衛星が環境にダメージを与えていることを示す証拠がある。もしFCCがNEPAに違反していると訴えられたら敗訴するだろう」とRyanは述べた。