結果、参加者らが持っていたセクハラ被害者のイメージは一貫して、一般的に女性的とされる特徴(若く、魅力的で、フェミニン)を持っていた。女性的であることとセクハラの被害者と思われることの結び付きはとても強く、参加者はある女性がセクハラを受けたと知ると、その女性がより典型的な女性だと考えるほどだった。
また、全く同じシナリオであっても、被害者が典型的な女性像に合致しない女性の場合、セクハラだとみなされない傾向にあった。こうした女性たちはセクハラを受けたことを信じてもらえないだけでなく、セクハラを受けても害がないと思われ、加害者が罰を受ける必要もないとみなされた。
もちろん、典型的な女性像を構成するのは身体的特徴のみにとどまらない。研究チームは、人種や性的指向、民族なども、セクハラ被害者として認識されやすいかどうかを左右する要素となると考えている。#MeToo運動では魅力的な白人女性に注目が集まることが多いため、この問題はおそらく悪化しているだろう。
この実験結果からは、セクハラの訴えの信用度や被害がさまざまな要因により過小評価されることで、人々を守るための法律が意図通り機能しない恐れがあることが示されている。こうしたゆがみをより深く理解することで、公正な裁きが実現する可能性が高まるかもしれない。
研究チームは「非典型的な女性が受ける害についての認識が偏っていれば、法的な結果は大きく変わるだろう」と結論。「信じてもらえなければ、沈黙させられているのと同じだ」と指摘した。