ワクチン接種進む英国「スポーツ観戦」でも規制緩和、財政支援も



Photo by David Price/Arsenal FC via Getty Images

──観客動員に関する規制緩和について、今後予定されているマイルストンを聞かせてください。

Harry:観客動員について、5月以降複数の実証実験を通じて段階的に規制緩和を行うことが決定している。英国では5月中旬に多くの産業を対象に各種規制が緩和され、スポーツに関してはこの時期を境に徐々に観客を戻すことが予定されている。

例えばプレミアリーグは、6月~7月に大規模スタジアムで観客を半分程度まで戻す方針を掲げている。6月に開幕するUEFA欧州選手権では、英国はグループリーグと決勝トーナメントの試合を開催することが決まっているが、グループリーグ戦では2万人、決勝戦では4万5千人程度の観客動員を目指している。このような段階的な規制緩和の結果に基づき、中長期的な観客動員に関する方針が決まってくるだろう。

規制緩和ができる段階まで状況が好転したことはよい傾向だが、スポーツ観戦に関する中長期的な影響は決して楽観視できないと考えている。仮に観客がスタジアムに戻ることはできても、その際にはマスク着用、ソーシャルディスタンス確保、試合会場での感染検査等の様々な条件が付くため、観客の観戦体験は大きく変わることが予想される。

観客にとって不便な体験を伴うものであることから、ファンが従来と同水準のチケット料を払ってまで試合観戦に訪れたいと思うかどうかは、今後スポーツ組織が向き合う必要のある課題である。

Matt:このような感染対策を伴う試合運営はスポーツ組織にとってチャレンジングなものとなる。特にUEFAチャンピオンズリーグのように国境を跨いで複数拠点で開催される大会では、試合開催国それぞれの感染状況や規制の影響を受けるため、大会運営はより複雑になるだろう。

今後、欧州各都市のスポーツ・エンターテイメント領域で観客を動員した実証実験が行われる予定であるため、スポーツ組織はそのような結果について注目する必要がある。
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文=菅原政規、安西浩隆、寺尾慎吾

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