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地域経済とソーシャルイノベーション

豊かさが再定義される中で、真に心のある宿のあり方とは(Photo Max Houtzager)

2020年のオリンピックイヤーをめがけて、国内では多数のホテルが開業した。

「ただ寝るだけ」の大規模で無機質なホテルではなく、部屋数は少ないが強烈な哲学をもち、強いコンセプトを打ち出すホテルが増えてきた。代表格としてリゾートホテルで有名なホテルブランド、アマンがある。1泊10万円以上の超高級ホテルだ。

そのアマン創業者エイドリアン・ゼッカ氏(以下ゼッカ)と彼が認めた経営者岡雄大が、今年3月に人口9000人の瀬戸内海の島にあらたなホテルをもう一人のパートナーと共同オープンした。

島の築140年の邸宅を引き継ぐ


Azumi
ベッドルーム(Photo Tomohiro Sakashita)

アマン
Azumi、yubuneのロゴ

その名前は「Azumi(あずみ)」。大海原を旅し、地域に根を下ろした海の民として言い伝えがある「アズミ族」から名前をとった。築140年になる地元の豪商の邸宅を引き継ぎ、その風情を残したまま改装した温かみのある旅館だ。食事はレモンや魚など地元の食材をふんだんに使い、その時々の旬の食材を活かした料理が楽しめる。Azumiのむかいの町民も楽しめる銭湯付き宿「yubune(ゆぶね)」も好評だ。

岡が大事にしたことは、人の心がかよった「地域文化に根ざした宿」。なぜ彼はAzumiをつくったのか、そしてその先にどんな未来を描いているのか。Azumiの創業者・共同代表の岡に話を聞いた。

哲学を変えた、愛し愛されるホテルとの出会い


azumi
Azumi創業者・共同代表 岡雄大

岡の生まれは岡山県岡山市。3才〜9才は父親の仕事の都合で、アメリカのコネチカット州の多様性あふれる社会の中で育った。帰国後は東京ですごしたが、協調性や合意形成を重視する日本社会に疑問を感じた。バックパッカーとして旅をして、さまざまなバックグラウンドをもつ人々が出会うホテルに魅力を感じた。大学卒業後は、ホテルの投資会社でアジア・北米の不動産投資やホテル会社の経営助言を行う。

毎日数字と睨み合い資本政策を優先にしたホテル経営に嫌気がさし、人の感情が通い合う「地域文化に根ざしたホテル」づくりを行う会社を仲間らと設立した。代表的なプロジェクトとしては、日本橋兜町の再生計画の起点として他数社と合弁で企画・運営しているホテルK5がある。

岡は2013年にはアドバイザーとして、アマンと仕事をするきっかけを得、そこでゼッカや後に岡と共にAzumiを立ち上げるビジネスパートナーらと出会った。

最初のゼッカの印象は、かっぷくいいワンマンホテル経営者というイメージとは真逆の、とても誠実でおだやかな人だった。

そんな中、アマングループの中の一つのホテルで人生を変える経験をする。バリ島にある1泊10万円以上する「アマンダリ」でのことだ。

文=齋藤潤一 写真=Azumi Japan

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