その理由としては、「顧客の傾向」と「社会的な変化」が挙げられている。販売停止をすでに発表している米百貨店メイシーズとノードストロームに続いたかたちだ。
サックス・フィフス・アベニューが、ニューヨークやボストン、フィラデルフィア、ビバリーヒルズなどで運営している毛皮サロン27店舗は、2022年1月末までにすべて閉鎖される。
ただし、羊革(シープスキン)、山羊革(ゴートスキン)、牛皮革、ダウン、フェザー、レザー、フェイクファーでできた製品の販売は続けるという。
一方、米百貨店ニーマン・マーカスとバーグドルフ・グッドマンは引き続き、毛皮の取り扱いを継続する。
ファッション業界誌ウィメンズ・ウエア・デイリー(WWD)によると、毛皮の販売を止めても、サックス・フィフス・アベニュー全体の売上に大きな影響はない見込みだ。
米動物愛護団体「全米人道協会(Humane Society of the U.S)」の会長で最高経営責任者(CEO)のキティ・ブロック(Kitty Block)は米Forbesに宛てたメールで、サックス・フィフス・アベニューの決断は「状況を一変させるゲームチェンジャー」であり、消費者は「もはや、動物虐待によって作られた衣類を身に着けたいとは思っていない」と述べた。
サックス・フィフス・アベニューの最高マーチャンダイズ責任者トレイシー・マーゴリーズ(Tracy Margolies)は声明で、「私たちは、トレンドは常に進化を続けており、毛皮の販売が依然として大きな社会問題であることを認識している」と述べた。「その意味で、毛皮販売の停止は、現在の我々にとって正しいステップだ」
多くの大手小売店も同様の措置をとっている。たとえば、ノードストロームは2020年9月、メイシーズは2019年10月に、毛皮販売を段階的に停止していくと発表した(前者は2021年末、後者は2020年度末に販売停止予定)。ノードストロームとメイシーズはそうした決断に至った一因として、顧客から意見が出ていたことと、各ブランドのトレンドに従ったことを挙げた。
サックス・フィフス・アベニューをはじめとする高級百貨店で製品を販売しているデザイナーズ・ブランドの多数が、自社製品に毛皮を使わないことを公言している。そうしたブランドには、グッチ、マイケル・コース、ダナ・キャラン、コーチ、フィリップ・リム、ステラ・マッカートニー、プラダ、カルバン・クライン、トミー・ヒルフィガーなどがある。