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2021.04.07

世界初の動物向け新型コロナワクチン、ミンク産業などが期待

Getty Images

ロシアの連邦獣医植物検疫監督庁は3月31日、世界初の動物向け新型コロナワクチンが登録されたと発表した。

このワクチンが正式承認に至れば、現在も世界各地で発生しているウイルスの危険な変異を防ぎ、動物飼育に関連した産業の回復を助けるという効果が期待される。こうした産業としては、今回のパンデミックによって壊滅的な打撃を受けている、毛皮用ミンクの飼育業などがある。

連邦獣医植物検疫監督庁のコンスタンティン・サベンコフ(Konstantin Savenkov)副局長は、このワクチン「カルニワク・コブ(Carnivak-Cov)」は、犬や猫、ミンク、キツネなど、複数種の動物に対する数カ月にわたる試験投与を経て登録に至ったと述べた。

サベンコフ副局長によれば、このワクチンを投与されたすべての動物において、新型コロナウイルスに対する抗体が形成された。また、現在も継続中の試験で、免疫が少なくとも6カ月は持続することが示されているという。

サベンコフはさらに、このワクチンは早ければ4月にも大量生産を始められる状況にあると述べた。また、米国、カナダ、シンガポール、ポーランドなど複数の国が、このワクチンにすでに関心を示していると付け加えた。

ミンク、犬、猫、ゴリラ、トラといった一部の動物が、新型コロナウイルスに感染した事例が伝えられている。とはいえ、人間のあいだでの感染拡大に動物が大きな役割を果たしたとは考えにくく、動物から人間に感染するリスクも低いとされている。ただし、米疾病予防管理センター(CDC)は、さまざまな種の動物がこのウイルスに感染するかどうか、仮に感染した場合はどのような症状を示すかを的確に把握するには、さらなる研究が必要だとの見解を示している。

ウイルスに脆弱な動物たちを感染から守ることは、新型コロナウイルス感染症を抑え込む上で長期的なメリットがあると考えられる。動物への感染を防止すれば、危険な変異の発生を防ぐことができるだけでなく、農業従事者の生計を守り、ミンク飼育業などの産業全体を守ることにつながるからだ(ミンク飼育の是非をめぐっては議論が尽きないとはいえ)。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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