いつもとは違う人間関係のなかで心地よく過ごせる「サードプレイス」。大人だけではなく、子どもたちにとっても、家庭と学校以外に自分らしく過ごせる「居場所」があることは、大きな意味を持つ。
子どもたちにとってのサードプレイスには、どんな役割があるのか。そこではどんな学びが実践されているのだろうか。
オンライン開催で行われた東京大学名誉教授(教育学)の汐見稔幸さんの連続講座「これからの教育のゆくえ」。その第2回である「暮らしのなかの学び」から、当日講師として参加された子どもたちの居場所に詳しい西野博之さん、森田眞希さんとの対話も含め、参考となる内容を紹介したい。
好奇心の芽を摘まない環境が学びを育てる
神奈川県川崎市にある「川崎市子ども夢パーク」をご存知だろうか。
2003年に川崎市によってつくられ、敷地内にはプレーパーク(冒険遊び場)や公設民営の「フリースペースえん」などがある。「子どもたち1人1人が大事にされ、安心してありのままの自分でいられる場をつくる」という理念で運営されている施設だ。
プレーパークは、禁止事項をなるべくなくした遊び場で、泥んこ遊びや水遊びはもちろん、穴掘りや木登り、工作など、五感を活かして自由に遊ぶことができる。子どもたちが「やってみたい」ことにどんどんチャレンジし、安心して失敗できる環境が用意されている。
プレーパークでの水遊び
フリースペースえんは、主として学校のなかに自分の居場所を見いだせない子どもたちや若者のための施設だ。ここでは、子どもたちの「暮らし」を大切にし、毎日昼食をつくり、みんなで食べる。カリキュラムを決めるのは大人ではなく、1日の過ごし方は子どもたちが決める。「なにもしない」時間を確保し、学びたい子には個別の学習支援もある。
フリースペースえんの様子