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昨年末、植物性食品のスタートアップであるEat Just(イート・ジャスト)が、研究所で細胞培養により作られた鶏肉を、シンガポールで販売開始することを発表した。この培養鶏肉は、世界で初めて食品の安全を保障する法的機関であるシンガポール食品庁(SFA)の認証を取得したとされており、未来の培養肉の可能性を考えるきっかけの一つとなり得るだろう。

そんな中、東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 竹内昌治教授の研究所では培養肉の研究に着手しており、2019年3月に、世界で初めてサイコロステーキ状のウシ筋組織の作製に成功した。これまで作製されてきた培養肉はランダムに並んだ筋肉組織を集めた「ミンチ肉」だったが、同研究所では筋繊維を一定の方向に配列させることで、ステーキ状の食肉に近い食感を実現させたのだ。高まる培養肉への期待。果たして、未来の食糧供給にどのような影響を与えるのだろうか。


培養肉の必要性


環境に優しく、安全で美味しい食材として注目を集めつつある代替肉。動物細胞を原料とした培養肉以外に、植物由来成分を使用した植物肉や、昆虫のタンパク質を使用した昆虫肉などの代替肉があり、なかでも培養肉は、味や食感だけでなく栄養成分をも再現できるのが大きなポイントだ。

培養肉の研究が進められる背景には、培養肉にさまざまな期待が込められているからだ。まずは、培養肉が普及することで得られるメリットについて、具体的に見ていこう。

人口増加・食肉需要増加

培養肉の研究が注目を集める背景には、人口増加と食肉需要増加がある。そもそも食肉は美味しい食材なだけでなく、人体に必要な必須アミノ酸が含まれている食材だ。必須アミノ酸は、人間の筋肉や血液、臓器の構成に、または代謝や免疫を保つために重要な良質なタンパク質のもととなっている栄養素。すなわち、食肉の摂取は健康に欠かせないのだ。

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食肉の生産のためには家畜を育てる必要があるが、飼料の量を考えると、家畜飼育は非効率的だという指摘がある。今後人口増加が続き、食肉需要も増加するようであれば、ますます非効率性が問題視されるようになるだろう。そこで、家畜飼育に比べてかかるコストが低く、効率性の改善が期待される培養肉の必要性が高まってくるわけだ。

文=アステル 編集=石井節子

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