また、自動車および自動車部品は輸出額の15.5%を占める主要輸出品で、2019年は過去最大の2017億ランド(約1.4兆円)を記録した(南アフリカの自動車業界協議会、NAAMSAのデータ参照)。コロナ後の経済回復と、未来の産業発展に向けた自動車関連企業の動向とは。
主要企業の南ア投資戦略
2021年2月末時点の累計データで、国内の年間販売台数は昨年比で13.8%減少の7万2170台であったが、輸出に関しては昨年比で8%増加して、5万2341台を記録した。ブランド別の販売台数では、首位トヨタ、フォルクスワーゲン、フォード、ヒュンダイ、日産と続く。車種レベルだと、乗用車ではワーゲンのPolo、小型商用車ではトヨタのHilux、フォードのRangerが人気だ。
フォードは2月、南アフリカにおける過去最大となる約158億ランド(10億ドル)を投資し、首都プレトリア付近のシルバートン工場の増設と設備のアップグレード行うと発表。新型Rangerを国内および、世界の100以上の市場に展開予定だ。年間生産能力は20%増となる20万台となり、1200の直接雇用、1万の間接雇用(サプライヤーなど)を生む見込みである。
この発表会見には、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領ら政府の主要人物が同席。製造業への投資拡大と生産性の向上、そして雇用の拡大は、コロナで停滞が加速した南アフリカ経済の回復と成長に向けた国家政策に合致している。
今回の戦略発表は、フォードのグローバル戦略の一環と見れる。同社は南アフリカへの投資に先駆け、ブラジルと欧州拠点の縮小を発表していた。また、増設される工場は同社の環境・エネルギー戦略である「Project Blue Oval」に基づいて展開される。Project Blue Ovalは、2035年までにすべての生産工場を100%現地調達の再生可能エネルギーを使用することと、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成することを掲げた同社の目標達成に向けた取り組みだ。
シルバートン工場では、屋根に太陽光パネルを設置した4200台分の駐車スペースを建設中。2024年までに、工場を完全にオフグリッド化し、エネルギー自給自足とカーボン・ニュートラルを達成するという。南アフリカのエネルギー資源は、7割が石炭を占め、再生可能エネルギーの比率は約1割という現状だ。