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「グッドビジネスは魅力的なアートか?」 ~現代アートとブランドビジネスの相関性

ロサンゼルス市内に設置されたカウズ(KAWS)の作品(AaronP/Bauer-Griffin/Getty Images)

前回のコラムでは「アートの顔をしたアートでないもの」について取り上げた。今回は逆に「アートの顔をしていないのにアートであるもの」について紹介してみたい。

カウズ(KAWS)というアーティストはご存じだろうか?

「アートの顔をしていないアート」のなかで、グローバルに活躍していて、資産性もあり、親しみやすさも兼ね備えているという点で、カウズの作品がいちばんであろう。

10年で約100倍になったカウズの作品


カウズを一躍有名にしたのは、2016年から始めたユニクロとのコラボだろう。セサミストリートやスヌーピーなど、目がバッテンにされたキャラクターの「あれ」である。

もしかしたら、アーティストの作品という意識もなく、可愛いから購入したという人もいるのではないだろうか。Tシャツも新品であれば、10年後にはなかなかの価値になっているかもしれない。なぜなら、Tシャツは販売枚数が多くても、基本は着るものなので、未使用のまま保管される枚数が限られてくるからだ。


ユニクロとカウズのコラボTシャツ(shutter stock)

例えば、2004年に発売されたバンクシーの有名な「風船と少女」のポスター(プリント作品)は、当初、25ドル(約2700円)だった。そんな価格だったので、買った人は、これを飾るとしても気にせず、押しピンとかテープで雑に壁に貼ったりしていたようだ。

そのため、サインなしで600枚あったはずの作品だったが、新品同様のいわゆる「完ピン」はどんどん減っていった。いまや、オークションでは、3500万円の価格がつくものになっている。もともとのベースが「アート作品」ならではの驚きのエピソードだ。

さて、カウズはその後、ラグジュアリーブランドであるディオールともコラボレーション。「ディオール オム」のトレードマークであるBEE(蜂)の目がバッテンになっているデザインのものを売り出して、話題を集めた。2019年には、中国で、ユニクロとカウズのコラボTシヤツが店頭で争奪戦になり、ニュースになったことも記憶に新しい。

このようにカウズは、とてもキャッチーなアーティストで、バンクシーに次ぐストリート系アートの担い手だと言える。


KAWS(Victor Boyko / Getty Images)

そもそもカウズはアメリカ出身のアーティストであるにもかかわらず、日本との馴染みが深い。1990年代の後半から2000年代前半には、日本の企業とファッションやおもちゃを製作していたこともある。

フィギュアを製作・販売する日本の会社、メディコム・トイとのコラボで、青山に「オリジナルフェイク」という店舗も展開していた。実は、その時の商品が、いまアートとして高値がつけられているのだ。

「オリジナルフェイク」という店名は、カウズの本物作品を自身が複製しフェイクとして販売するというところからきている。フェイクではあるけれど、本人のオリジナルという意味で「オリジナルフェイク」と名付けたわけだ。こういったコンセプチュアルなところが現代アートらしい。

文=高橋邦忠

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