米国の歴史を感じられる13のホテル


ナパ・リバー・イン


同館の建物は、川沿いのブティックホテルとなる前は国家歴史登録財のヒストリック・ナパ・ミル(Historic Napa Mill)だった。ヒストリック・ナパ・ミルは1884年、水運業を営んでいたアルバート・ハットが地元のぶどう畑のための物資やワインを保管する倉庫として建設したものだ。

ハットはヒストリック・ナパ・ミルを地域社会の拠点とするため、ローラースケート場を建設した。リンクに使用された白いサトウカエデの木材は、今でも同館の「キャプテン・ハット・スイート」の部屋の床に使用されている。

ザ・ピーバディー・メンフィス

1869年に建設された同ホテルでは、エルビス・プレスリーがプロム(高校卒業時のダンスパーティー)に参加し、その後レコード契約にサインした。

しかし、ザ・ピーバディー・メンフィスで最も有名なのはおそらく、ホテル付きのカモたちだろう。毎朝11時になると5羽のマガモが赤じゅうたんの上を歩き、ロビーの噴水まで移動する。午後5時まで泳いだら、今度は屋上のすみかまで行進して帰る。同館には1933年から、カモの見物人が来るようになった。

カモたちはホテルのマスコットでもある。バスルームにはゴム製のアヒルがあり、バーの銅製マグカップにはカモの絵が彫られている。同ホテルのレストラン「シェ・フィリップ」がフレンチレストランなのにカモ料理を提供しないのも、これが理由だろう。

ザ・ブロードムーア


起業家のスペンサー・ペンローズは、コロラド州コロラド・スプリングスにそれ自体が旅の目的となるホテルの建設を目指した。パイクスピーク地域に土地を買い、パイクスピーク山頂まで急勾配の未舗装道路を建設したペンローズは、その後も動物園や展望台、アイススケート・ホッケー場などの建設を続け、同館は約20平方キロメートルに広がる保養地となった。

同館は現在、ビリオネアのフィル・アンシュッツが所有している。フォーブス・トラベルガイドでは世界で最も長期にわたり五つ星の獲得を続けていて、これまで61年連続で五つ星の評価を得ている。

オーハイ・バレー・イン


南カリフォルニアにあるスパニッシュコロニアル様式の同リゾートは、芸術家の天国だ。オハイオ州でガラス製造業を営んでいたエドワード・リビーが冬の別荘としていた同館には、クラーク・ゲーブルやジュディー・ガーランド、ウォルト・ディズニーらハリウッドの著名人も訪れている。

映画監督のフランク・キャプラは『失はれた地平線』で、同地域を理想郷「シャングリラ」の撮影に使用した。

1942年に陸軍基地として使用され、その後海軍施設となったが、1946年にはホテルとして営業を再開した。
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翻訳・編集=出田静

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