COVID-19影響下におけるeスポーツの成長 ジャンルにより顕著な差が
COVID-19の影響はeスポーツの成長を後押ししている。COVID-19により、各国でロックダウンが実施され、スポーツの試合・イベントが相次いで延期・中止されることに伴い、不足したコンテンツを補うようにeスポーツを利用した様々なイベントが開催されたことは記憶に新しい。
こうしたコンテンツの提供・視聴環境の変化はeスポーツの成長にどのような影響を及ぼしたのだろうか。
●コロナ禍におけるゲームのストリーミングとメディア消費
出所:PwC分析、IRIS Market Intelligence 08/2020 | YouTubeとTwitchでの視聴時間数およびストリーミング時間数、各プラットフォームの各タイトル上位100アカウント
【アクション、ファンタジー、シューティング】含まれるタイトル:LoL、Dota 2、CS:GO、Fortnite、Battlegrounds
【シミュレーションスポーツ】含まれるタイトル:FIFA、NBA2K、Madden NFL、F1、PES
図は、2020年上半期のeスポーツのジャンル毎にストリーミング(配信)時間と視聴時間がどのように推移したのかを示したもの。
ここでは、LoL、Dota 2、CS:GOといった非現実の環境をテーマにしたアクション・ファンタジー・シューティングジャンルと、FIFA、NBA2K等のように現実のスポーツをゲーム化したシミュレーションスポーツジャンルに分けて比較を行っている。
欧州をはじめとした各国のロックダウンを境に、アクション・ファンタジー・シューティング、シミュレーションスポーツ共にストリーミング時間が大幅に増加する一方、その視聴時間の推移には顕著な差が見られる。
アクション・ファンタジー・シューティングジャンルがおよそ50%の視聴時間増加という成長を遂げているのに対し、シミュレーションスポーツの視聴時間は一時200%にも及ぶ成長を見せたもののリアルスポーツの再開に伴いロックダウン前と同水準まで低下している。こうした結果は、シミュレーションスポーツは本来最も理解されやすいコンテンツでありながら、まだ成熟したメディア商品に至っていないことを示唆している。