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コロナ禍で顧客とのコミュニケーションが取りづらくなっている企業も多い。そんな今、注目したいのが、中国のECや企業のウェブサイトに必ずと言っていいほど埋め込まれている“チャット機能”だ。

日本でも最近よく見かけるようになったチャットサービスだが、中国では2000年代前半から取り入れられており、オンライン上で企業と顧客をつなぐ重要なツールになっているという。『中国オンラインビジネスモデル図鑑』などの著書を持つ起業家である王 沁氏に解説してもらった。

※本稿は『中国オンラインビジネスモデル図鑑』(かんき出版)より一部抜粋・編集したものです


“デジタル後の世界”の中国で活躍するチャットサービス


「中国のオンラインサービス」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

スマホでのキャッシュレス決済や日本でも人気のTikTokなどを思い浮かべた方も多いかもしれません。ITに詳しい方は「アリババ」や「テンセント」など、企業の名前が浮かんだ方もいるのではないでしょうか。

現在の中国では、買い物、フードデリバリー、配車サービスなどはもちろん、医療や学び、賃貸住宅の契約、納税もオンラインでできるほか、新発売の化粧品をスマホの画面上で試すことができるなど、あらゆるサービスがすでにオンライン化されています。いわゆる、“デジタル後の世界”です。

そんな中国で日々生まれる革新的で便利なアプリやオンラインサービスは、シリコンバレーのIT企業などからも注目されています。

今後、間違いなくデジタル化が進む日本において、ビジネスや投資に携わる人が中国のオンラインビジネスについての知識を得ることは非常に有益です。

このコロナ禍において新たに抱えることになった問題を解決するヒントも、中国企業を参考にすることで見えてくることもあるでしょう。

たとえば、顧客とのコミュニケーションについて。新型コロナウイルスの影響によって対面での接客や販売などといった顧客との接点が減り、リアルな顧客の声をキャッチしづらくなっているという企業も少なくないでしょう。

そんな今、注目したいのが、中国で活躍しているチャットサービスです。

最近では、日本のECサイトでもチャットでの問い合わせ機能を見かけるようになりましたが、中国でははるか以前、2000年代前半から存在しており、多くのECサイトがチャットを取り入れています。

きっかけになったのはチャットサービス「QQ」の出現です。これは、「中国を変えた」と言われるアプリで、テキストのやりとりやグループチャットなど、一般的なインスタントメッセンジャーの機能以外にも、さまざまな機能があります。

QQの最大の特徴は、IDとして電話番号のような数字が割り当てられることです。番号制のおかげで電話と同じ感覚で気軽に利用できるため、中国人のコミュニケーション方式に多大な影響を与えました。中国人はあまりEメールを使わないのですが、それはQQの存在が大きいと言えます。

この変化は個人間のコミュニケーションだけでなく、企業と顧客のやりとりにも影響を与えました。中国では電話料金が非常に高いうえ、地域によって料金が違います。

そのため、多くの企業はネット草創期から自社のウェブサイトの問い合わせ欄に電話番号を掲載するのではなく、QQのシステムを埋め込みチャットを通じて問い合わせを受けるようになったのです。ECもその内のひとつです。

『中国オンラインビジネスモデル図鑑』(かんき出版)

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