他の世代と比べても社会貢献への意識が高いと言われている私たち。この連載では、U30世代のための政治と社会の教科書メディアNO YOUTH NO JAPANのメンバーが、社会に感じるモヤモヤを第一線で活躍する大人にぶつけ、ソーシャルグッドについて一緒に考えていく。
(コラボ対談:若者の「政治とモヤモヤ」って? 同世代がぶっちゃけ聞きたい7つのこと)
第1回目は、イギリス公共放送BBCの日本人初のレポーターの大井真理子さんにキャリアと子育てについて聞く。3児の母でありながら、シンガポールを拠点に世界を飛び回るキャリアウーマンだ。
実は日本の育児休業制度は世界的にも優れているにも関わらず、男性の育休取得率は2019年度には過去最高の7.48%だったが、未だに少ない。職場をはじめ社会全体でもジェンダー平等が実現されていない状況だ。これから就職をするU30世代の私たちの抱える不安も交えながら、キャリアと子育てが両立できる社会のつくり方について考えたい。
子どもを産むのに完璧なタイミングなんてない
NO YOUTH NO JAPAN 田中舞子(以下、NYNJ田中):今回のテーマについて、U30世代のメンバーからいろんな意見を集めてきました。その中で就職活動をしているメンバーが、「女子はやっぱり育休制度とか福利厚生が大事でしょ?」という風潮を感じているそうです。今はやりたい仕事を基準に会社を選んでいるけど、将来を考えると福利厚生も気にした方がいいのか?そもそも、なぜ女性だけがこんなことを言われるのか?と、すごくモヤモヤします。
大井さんはキャリアを積む中で、いつ頃から子育てについて考えていましたか。
大井真理子(以下、大井):まだそんな風潮があるんですね!私は、留学先のオーストラリアで報道の仕事に魅力を感じ、この分野でキャリアを積みたいと思いました。24歳でBBCに入社した時は、まだ出産や子育てについては詳しく考えてなかったですね。
上司や周りの先輩からは、「特にこの業界はキャリアだけを追っていると、子どもを産むタイミングを逃してしまうから、20代のうちから考えたほうがいいよ」というアドバイスをもらいましたが、入社したての頃だったので聞き流していましたね。いま考えると、大切なアドバイスだったと思います。
BBCは女性の上司が多く、産休や育休についてもよく考えてくれる会社です。でも、子どもを産むのに完璧なタイミングなんてない。どうしても女性のキャリアアップに影響が出てきます。私は憧れだったニューヨークでの勤務期間にいまの夫にプロポーズされ、その後のロンドン勤務中に長女を妊娠していることがわかりました。子どもができたことは嬉しいけど、キャリアアップの最中だったので困ったのも事実です。しかし、周りには同じような経験をしてきた女性の上司がたくさんいて、「心配しないで」と声をかけてくれました。
次女を出産後、8週間で仕事復帰した。その後は隔週で産休取得し、今回の連載の取材日は産休中だった