急回復の台湾経済、2021年のGDP成長率は「7年間で最大」見通し

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台湾政府は2021年の経済成長率が、2014年以降の7年間で最大となる見通しだと発表した。好調の主な要因としては、世界的なテクノロジー製品需要の高まりが挙げられている。

台湾の統計局は2月20日、今年のGDP成長率を前年比4.64%と予測した。この数字は、昨年11月時点の予測(3.83%)から0.81ポイントの上方修正となる。

台湾のエレクトロニクス業界からの輸出は、世界各国からの強い需要を受けて上昇する見通しだ。特に半導体産業は5G向けデバイスやIoT製品、ハイパフォーマンスなコンピュータ需要の高まりの恩恵を受けるとされている。自動車向け半導体は現在、世界的な品不足の状態にあるが、台湾のチップメーカーはこの分野でも追加の収入が期待できるという。

調査企業ガートナーの台北支社のトレイシー・ツァイは、台湾経済を牽引するテック系ハードウェア業界全体が、新しい環境に適応しようとする世界の消費者の需要の高まりの恩恵を受けると予測している。

新たな需要は、日常的に使うPCだけでなく、デバイス内蔵型のカメラやAI(人工知能)向けのチップ、クラウドコンピューティング向けのデバイスにも及ぶだろうと、ツァイは分析した。

「エンドユーザーから上流に至るまでのサプライチェーンを見てみると、それらはすべて台湾のテクノロジー業界に関連しており、台湾のGDPに直接または間接的に関与する」とツァイは述べている。

テック需要の高まりは特に、半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業TSMCの業績を後押しすることになるだろう。また、パソコン大手のAcerも、今月1月の連結売上高が前年同月比73.4%増の235億台湾ドルとなり、8年ぶりに最高記録を更新した。Acerは売上好調の背景に、Chromebookやゲーミングデバイス、軽量ノートPCの需要の高まりを挙げている。

台湾はパンデミックへの対応で成功を収め、世界の多くの国の製造業が苦戦する中でも、生産を継続してきた。台湾政府は2020年の初頭から、厳格な検疫体制を敷き接触者を追跡することで、感染拡大を抑え込んだ。台湾における新型コロナウイルスの累計感染者は2月22日時点で942人で、死者は9人に抑えられている。

編集=上田裕資

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