──そんな人生を変えてくれるような人と繋がるにはどうすれば良いのでしょう。
大切なのは1つ。「発信すること」です。SNSでも飲み会でもなんでもいい。自分の興味関心、許せないこと、喜びなどをどんどん言語化していくことです。そうすれば同じ意識を持っている人と繋がることができる時代です。
私が山口と出会ったのは学生時代で、当時から「貧困はどうしてなくならないのか」とか「資本主義のあり方はどうあるべきか」みたいなテーマを議論しあっていました。私の問題意識を言語化していたからこそ同じ意識を持つ山口と出会い、のちに作ったバッグを私のところまで持ってきてくれる関係になったわけです。
日本人は考え抜くまで言葉にしない癖がありますが、これはよくありません。とにかくちょっとでも感じたことや違和感は「発信」していくこと。これが、人生を変える出会いを引き寄せる一歩だと思います。
「死なない程度にたくさん怪我をしろ」
──「ゼロからイチ」を作るために経営者として意識していることをお聞かせください。
マザーハウスでは「0を1にする人」「1を10にする人」「10を100にする人」といった呼び方でそれぞれの事業フェーズごとに明確に戦略や役割分担を変えています。
「0を1にする人」というのは、ある意味ホームランバッターみたいなもの。当たれば大きいけれど、三振もたくさんする。それでも我々のように「自分たちのやりたいこと」をベースに事業をゼロイチで立ち上げるからには、三振覚悟で思いっきり振りに行かないといけません。
このときに私が意識的に発信しているのは「死なない程度にたくさん怪我をしろ」ということ。三振して、怪我してはじめて気づくことがたくさんありますし、チャレンジの絶対量が重要です。一方で、致命傷になってしまっては意味がありません。
例えばマザーハウスが入谷に初出店した際には、一般的には2000万円くらい開店費用としてかかるところを、店の本質を失わない形で一番ローコストな開店方法を考え、結果的に200万円で店を作りました。
2000万円で1回失敗するなら、200万円で10回失敗した方がいい。そうやって「0を1にする」際は致命傷にならない程度の失敗数を増やすようにすること。これは経営者としての判断が重要な部分だと思います。
優秀なメンバーを集め、特性を生かすための役割分担|マザーハウス 山崎大祐#2に続く
山崎大祐◎1980年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持つ。2003年に新卒でゴールドマン・サックス証券に入社しエコノミストとして経済分析や金融商品提案などに従事。2007年3月に同社を退社後、大学時代のゼミの1年後輩だった山口絵理子氏が創業したマザーハウスの経営への参画し、副社長に就任。
連載:起業家たちの「頭の中」
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