「『強みはなんですか』と聞かれれば、プロダクト、アルゴリズム、顧客基盤というわかりやすい答えはあります。ただ、究極的に、最後まで(他社が)真似できないのはカルチャー。『教育に、人に、社会に、次の可能性を』というミッションを大事にするカルチャーが原動力となり、業績の伸びに繋がりました」
atama plus代表取締役の稲田大輔が急成長の要因としてあげるのは、コロナ禍の2020年2月に新たに提供開始した「atama+」Web版の開発とその基盤となったカルチャーの存在だ。
同社は、学習を一人ひとりに最適化するタブレット型AI教材「atama+」を全国の塾・予備校に提供してきた。塾・予備校内で講師のコーチングを受けながらの利用を前提としたプロダクトだ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、全国の小中高校への臨時休校要請が出る直前の2月25日、同様の学習が自宅のPCやタブレット端末でも継続使用できる「atama+」Web版の臨時提供を開始。塾向けプロダクトを家庭学習向けにも進化させた。
「学校が休校になると塾も休校になる。僕らのプロダクトは塾・予備校内でしか使用できなかったため、普通に考えると売り上げは厳しくなるのですが、結果的に売り上げは急成長しました。その理由が、「atama+」Web版の提供です。プロダクトチームが開発開始してから1週間で作りきりました。また、ビジネスチームが同時に動いて、Web版を使用した際のオンライン講座の設計や、塾の方が生徒の保護者の皆様にオンライン講座について告知するのを支援するなど、カスタマーサクセスを徹底的に行いました。
合わせて、広報チームが『緊急事態宣言中の学習はこう変わる』という情報提供をして、新しいオンライン学習の認知度を高めることもできた。各チームが自律して一丸となって動いた結果、一気に使用された。ミッションに向かってできることは何か──と、一人ひとりが自律して動いているので、変化に強い組織ができていると思います」(稲田)