路線バスを自動運転化するカナダ企業「New Flyer」のテクノロジー

(c) New Flyer

ウェイモやGM傘下のクルーズ(Cruise)、アマゾン傘下のZoox、スタートアップのTuSimpleなどの企業は、乗用車やトラック向けの自動運転技術を開発するため、数十億ドルもの資金を投じてきた。

これまで、路線バスの自動運転化は後回しになっていたが、最近になって状況が変わりつつある。カナダのウィニペグに本拠を置く北米最大の都市バスメーカー「New Flyer」が、自動運転技術を搭載した大型バスを開発し、来年にも運用を開始するという。

New Flyerが開発したEV(電気自動車)バスXcelsior AVは、路線バスで初めて自動運転レベル4を実現した。北米で運用が予定されており、早ければ2022年にコネチカット州運輸局によるテストプログラムを開始するという。

Xcelsior AVは長さ40フィートで、80名が乗車できる。車両にはLiDARセンサーやカメラ、レーダーが搭載されており、昼夜を問わず360度の3Dモデルを生成することができる。コンピュータやソフトウェア、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)は、メリーランド州に本拠を置く「Robotic Research」のシステムを採用している。同社は、過去20年に渡り、国防総省向けに自動運転車両を製造している。

都市部で大型車両を安全に自律走行させることは困難だが、New Flyer のプレジデントであるChris Stoddartによると、路線バスは、タクシーや乗用車、トラックと違って走行ルートが固定されており、走行スピードも遅いため、自動運転化に適しているという。

「路線バスの場合、事前に走行ルートのマッピングが可能なため、ビジュアルシステムに常に依存しなくて済む。また、平均時速が20キロ程度である点も有利だ」とStoddartは話す。

大手テック企業は、タクシーやセミトレーラーの自動運転化に大きな可能性を見出し、研究開発に数十億ドルもの資金をつぎ込んできた。路線バスも自動運転に適しているように思えるが、市場規模が遥かに小さく、ユーザーのコスト意識が高いため、大手企業はこれまで重視してこなかった。

New Flyerが開発したプロトタイプと、コネチカット州のテストプログラムは、米連邦公共交通局の「統合モビリティイノベーション(Integrated Mobility Innovation)プログラム」から資金提供を受けている。同プログラムは、先端技術を用いて公共交通のサービス改善をもたらすプロジェクトに資金提供を行っている。
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編集=上田裕資

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