感染拡大の最大の要因として第1波以降、繰り返し指摘されているのが、マスクを外して、密接な会話をする場面が多い、酒を提供する飲食店と夜の街である。感染症の専門家は、遺伝子分析などを駆使して、感染の拡大経路を把握していた。第3波が始まる前の状況でいちばん有効だったのは、飲食店・夜の街の徹底的な感染予防対策あるいは強制休業だったのだろう。しかし、法律ではそれが許されていないので、結局、「営業時間短縮の要請」となった。
ニューヨーク市では、屋外(テラス席)での飲食は許されるものの、屋内席は定員の25%としてソーシャル・ディスタンスを保つ(12月14日以降は、屋内席全面禁止)という規制があるが、このほうがより直接的に3密を防いでいる。もちろん、ニューヨーク市のほうが東京都よりも、10万人あたりの感染者数や死者数は多いので、ニューヨーク市の対策が奏功しているとは言えないのではないか、という批判はある。しかし、所得格差の大きいニューヨークならではの家庭内の3密問題や基礎疾患比率が高いという問題があるためで、もし飲食店経由の感染拡大だけをとると、ニューヨークのほうが東京よりも低いと思う。
菅内閣発足直後の内閣支持率調査では、日経調査(9月末)で74%、NHK調査(9月)で62%と、比較的高い支持率を示していた。菅首相は、経済活動の再開を優先させ、Go Toキャンペーンを推進した。コロナ危機で大きなダメージを受けた、旅行業界、航空会社、観光地のホテル業界、飲食業界には歓迎されたが、11月に感染者数が急増すると、経済活動再開の判断に対して批判が集まるようになった。
内閣支持率は12月中旬のNHK調査では42%、12月下旬の日経調査ではついに、支持しない(48%)が支持する(42%)を上回った。両調査で、コロナウイルスへの政府の対応について、「評価しない」が「評価する」を上回り、Go Toトラベルキャンペーンについて「中止が妥当」が「継続すべき」を上回り、緊急事態宣言を「出すべき」が「出す必要はない」を大きく上回った。このような世論の圧力から、年末には、Go Toトラベルの全面停止が発表され、1月7日の緊急事態宣言につながったと言えよう。