キャリア・教育

2021.02.04 07:30

ユニコーン企業への就職は妥当か 「時価総額」という観点から考える

RUNSTUDIO/Getty Images

年明けすぐに緊急事態宣言が再発令され、飲食店に限らず多くの店が早々に営業を終えている。お酒を飲まない私は、飲み会ができなくなったと嘆くことはないが、やはり困ってしまうこともある。それは、なかなか「実地調査」ができなくなったことだ。

データを分析することで仮説をたて、その後に実地調査をして仮説と現実のギャップを見出し、そこからインサイトを見出すのが仕事の一部なので、飲食店に立ち寄ってヒアリングができないのは一大事だ。

実地調査と言っても、必ずしも事業者への調査だけを指すわけではない。個人的に重要だと考えているのは、学生との会話だ。いろいろと聞かれて、それに答えるという形式が多いが、実際には私自身も会話を通じて多くの学びがある。

昨年からはオンラインでの会話ばかりだが、先日、話題にあがった内容が非常に重要だったので紹介したい。

投資をする時の2通りの考え方


最近、学生と話していてよく話題になるのは、「資産運用(投資)」と「就活」だ。

前者は、株式市場やビットコインが上昇しているというニュースをよく耳にするために興味が湧くらしい。後者は、時節柄ということもあろうが、意外にもオンラインでの就職活動はやりづらいという声を学生から聞くことが多い。若者はなんでもオンラインがいいのかと思いきや、意外にもアナログな対面のほうがやりやすいというのだ。

実は、この2つの話題のなかで、共通テーマとなったのが「時価総額」だ。時価総額とは、株価と発行済み株式数をかけて算出する企業の価値を表す1つの尺度である。

株式投資をする場合は、主に2通りの考え方がある。

まず、その企業の業績や保有している資産から考えて、現在の株価が割安にあると考えられるタイミングでいち早く投資をし、他の投資家がその事実に気付き投資をすることで、株価が妥当なところまで上昇してきたところで売って利益を出すという考え方。

もう1つは、現在の株価が割安ではなくても、将来大きく成長することで株価も上昇していくと期待して投資するという考え方だ。つまり、発行されている株数に変化がない限り、株価が上昇すれば、その分時価総額も上昇していくので、時価総額が大きい会社は良い会社なのではないかということになる。

さて、この時価総額が、就活の話題にどう絡んできたのかといえば、会話の内容はこうだ。大企業に行くと最初は事務作業ばかりやらされたり、人が多くて人間関係も複雑で、意思決定も遅そうだったりするから、ベンチャー企業に行きたい。でも、ベンチャー企業は安定していなさそうで怖い。そこで、時価総額が大きいベンチャー企業を受けようと思うと学生は言うのだ。

確かに、ここ数年、大手のメディアが「ユニコーン」という言葉を冠して、時価総額が大きいベンチャー企業を特集している記事を目にする。
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文=森永康平

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