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0歳からの「お金の話」

d3sign/Getty Images

昨年は新型コロナウイルスによって日常生活が大きく変化した。新たな1年が始まったものの、年末年始に陽性者数が急増したことによって、しばらくはコロナ禍に収束の兆しは見えそうにない。

年明け早々に「緊急事態宣言」の発出が決まったことで、昨年春先に緊急事態宣言が出た際に企業や家計の消費行動にどのような変化が起きたのかを公開データで振り返り、検証してみたい。

手厚い補償はサービス業に


まず、企業側のデータを見てみよう。経済産業省が発表している「商業動態統計」のなかで、小売業の商業販売額をグラフにしたものが下図だ。2019年9月と10月の激しい上下動は、消費増税前の駆け込み需要と、その反動だ。目立つのは、やはり緊急事態宣言が発令された2020年4月と5月の落ち込みである。

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出典:経済産業省「商業動態統計」のデータを基にマネネが作成

次に、感染拡大の元凶の1つとして槍玉にあがった飲食業界を含む外食産業を見てみよう。こちらは政府統計がないため、日本フードサービス協会が発表している「市場動向調査」のデータをグラフにした。やはり、小売業界同様に緊急事態宣言が発令された昨年の4月と5月に売上高は大きく下落している。

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出典:日本フードサービス協会「市場動向調査」のデータを基にマネネが作成

5月25日に緊急事態宣言が解除されてからは、小売業界も外食産業もともに回復傾向にあり、小売業に介してはコロナ前の水準まで戻ろうとしている。しかし、11月から感染の第3波が発生し、年末年始にかけてさらに感染が拡大して、年明け早々に緊急事態宣言となったため、昨年の悪夢が再び訪れようとしている。

一方で、家計側から見た場合の緊急事態宣言の影響はどうだろうか。JCBグループ会員のうち、匿名加工された約100万会員のクレジットカード決済情報をもとにJCBとナウキャストが算出した消費動向指数を見てみよう。やはり企業同様に4月と5月に大きく落ち込んでいるが、それはあくまでサービス業に対する支出が落ち込んだだけということがわかる。

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出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」のデータを基にマネネが作成

つまり、緊急事態宣言を発令して経済活動を抑制するにあたり、個人に対しての一律給付や企業に対する粗利補償などを財源の問題から敬遠するのであれば、せめて特定業種に対しては手厚い補償をすべきなのだが、その際に手厚い補償をすべき業態は一目瞭然、飲食や旅行などサービス業に対してということになる。

総務省が発表している「家計調査」を見ると、「Go Toトラベル」や「Go To Eat」などのいわゆる「Go To事業」も一定の効果があったことがわかる。私自身は実施前に期待していたほどの効果は出ていないと分析しているが、それでもこの事業によって救われた企業は多いだろう。

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出典:総務省統計局「家計調査」のデータを基にマネネが作成

文=森永康平

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