キャリア・教育

2021.01.22 09:00

人事が取るべき資格とは。代表的な資格と概要、業務への活き方


人事担当者におすすめな資格 目的別
Sathachak / Shutterstock

メンタルヘルス・マネジメント検定試験


従業員の心の不調を未然に防ぎ、活力ある職場づくりを目指すべく、メンタルヘルスケアの知識を身に付けるための検定試験。

企業の組織活性化やビジョンの達成は、従業員が心身ともに健康で働けてこそ実現できるもの。しかし、仕事においてストレスを抱える人や、うつ病などによる休職や離職も増加傾向にある。

そのため、従業員のメンタルヘルス・マネジメント(心の健康管理)の整備はどの企業にとっても早期に取り組むべき課題なのだ。

検定試験はⅠ種からⅢ種にコースが分かれており、Ⅲ種が「自らのストレスの状況・状態を早期に把握して、自らケアを行い、必要であれば助けを求める」スキルを身に付ける、一般社員のセルフケアを目的としたもの。Ⅱ種は管理職向けに部署内や部下のメンタルヘルスケアの推進ができることを目的としている。

一方でⅠ種は、メンタルヘルスケア計画の作成、産業保健スタッフや専門機関との連携、従業員への教育・研修などができることを目標に置いた、人事向けのものだ。

健康経営に取り組む企業も増えており、メンタルヘルス・マネジメントへの関心は高まっている。この資格を保持していれば、社内のメンタルヘルス対策を推進する役割に就きやすいだろう。

産業カウンセラー


産業カウンセラーとは、従業員にカウンセリングを行ない、メンタルや職場の問題、キャリア形成支援を行う専門家。心理学の手法を用いて、従業員が抱えている問題を自ら解決できるように導く役割である。

産業カウンセラー養成講座では、すべてのカウンセリングの基本となる傾聴も学ぶ。話し手の言葉を受け入れ、共感し、話を聴く傾聴のスキルは、あらゆる業務に役立つ。社内のさまざまな立場の従業員や、就職・転職希望の候補者と面談する機会の多い人事にとっては、身に付けておきたいスキルだ。

社会保険労務士


企業の経営資源のうち、「ヒト」に関する専門家に与えられる国家資格。採用や退職などの労働・社会保険に関することや年金についてなど、広範囲の知識が必要である。試験は、労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法などあらゆる法律から出題されるため、難易度が高い。

社会保険労務士の資格を取得していれば、労務管理の仕事を行う際に役立つことはもちろん、国家資格であるため転職市場においても武器になるだろう。また、独立開業を目指せる資格でもあるため、いずれ独立を視野に入れている人事は、取得しておくとキャリアの選択肢が広がる。

中小企業診断士


中小企業の経営者を相手にした経営コンサルティング業務を行うことを、公式に認められた国家資格。中小企業の抱える課題を客観的に分析し、経営資源を最大限に活かすためのアドバイスを送って、経営状態を改善へ導く役割である。事業計画の策定、IT化の推進、人事の適正化など、踏み込む分野は幅広い。

試験も、財務・会計、経営法務、経営情報システムなどさまざまな分野から出題されるため、学習する中で「ヒト」以外の経営資源に対する理解を深めることができる。他部門と連携する機会の多い人事が中小企業診断士の資格を取得しておけば、社内のハブとなって、経営改善のための人事・労務施策を進めていきやすいだろう。

最近ではスタートアップ企業を中心に、人事権を持った経営幹部である「CHRO(最高人事責任者)」のポジションが重用されている。この資格を取得しておけば、より広い視野を持って経営戦略に対する意見を伝えられるようになるはずだ。

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文=倉本祐美加

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