そんな「風の時代」になった2021年にまず手放すべきは、「持つ」ことに執着することと言えるかもしれません。
実際、昨年コロナ禍よる自粛期間に多くの人が家の片付けをしたのは、「風の時代」の到来を予感していたかのような出来事であり、世の中には、“持たない”生活を後押しするようなさまざまなシェアリングが次々と登場しています。
テレワークの推奨で、住む場所、働く場所に縛られなくなったことで話題のワーケ―ション、地方移住などの潮流もまさに「風の時代」を感じさせるものです。“持たないことで生まれる自由”を世の中が認め、それがすでに広がり始めている気もします。
しかし、これまでどっぷり「土の時代」の価値観に生きてきた私たちが、持たない生活を選び、慣れるのは、そう簡単なことではないでしょう。
コレクションとまでいかなくても、好きな物、お気に入りのものを「所有」する喜びや満足感を捨てきるのは難しく、それが心の糧になったり、目標になったりすることはこれからも変わらないでしょう。2020年以降に生まれた子供たちが大人になったときは、それもだいぶ変わっているかもしれませんが、それでも今後も、世の中から「土」の要素がすべて消えるわけではありません。
「ひとつ」に縛られない時代に
それでも、ひとつの物、ひとつの場所、ひとつの価値観などに「束縛される」ことはやめたほうがいいでしょう。
先祖伝来の土地や受け継いだ仕事を守りたい、愛着のある場所を離れたくない、ある仕事に生涯を賭けて打ちこむ、という生き方を時代遅れだといっているわけではありません。むしろ本当に大事なもの、大事な場所を守るためにも、これまでの価値観に縛られず、さまざまな方法、考えを試すべきであり、それを可能にするアイデアや科学技術が生まれてくるのが、「知」を象徴する「風の時代」なのです。
たとえば、コロナ禍の影響で、簡単に予約もとれない名店の味がテイクアウトできたりしましたが、そんな従来のやり方とは違う挑戦が、今後の飲食業界に何かの形で新しい未来を拓くかもしれません。
最近は、副業を認める、推奨する会社も増えています。ひとつの肩書き、ひとつの役割、ひとつのやり方に縛られずに、フレキシブルに未来を考えてみれば、大きな可能性が開けてきます。
会社や地域という“箱”や“枠”を取り払い、その気になれば、これまでよりもっと自由に動けるのが「風」の時代ですから、まず、あなた自身が自分の心の“枠”を取っ払ってみましょう。そうすれば、無理に手放したりしなくても、自然と自分にとって本当に必要な“物”もわかってくるでしょう。