研究者らは、米国の若者におけるがんの傾向について調べた最近の調査で、15〜39歳の間のがんの診断数が1973年〜2015年の間になんと30%ほど増えたことを報告した。研究は先日、米国医師会雑誌(JAMA)のオープン・アクセス・ジャーナル「JAMAネットワーク・オープン」に掲載されたものだ。
近年、若年層ががんに関して特徴的な人口集団であるとの認識が高まってきた。若者が自立を高め、キャリアを開始し、新たな人間関係を形成する人生のこの極めて重要な時期にがんの診断を受けることは大きな影響を与え得る。若者らは年配の成人に比べて金銭的に不安定な場合が多く、医療保険でカバーされている割合も最も少ない。
この年齢集団における腫瘍は、子どもやより年配の成人の間で見つかる腫瘍と分子レベルで異なることを示す証拠もある。がんを患った若者の間での生存率は年配の成人よりも高いが、若者のがん患者は不妊や心臓血管系の病気、性機能障害、その後のがん再発など、がんから派生した長期的な影響に苦しむ可能性が高い。若者のがん罹患(りかん)経験が特殊なことから、この年齢集団におけるがんの発生率や原因を理解し効果的な治療の選択肢を特定するため、より多くの研究がこれまで行われてきた。
今回の新たな研究は、若者の間におけるがん診断の動向を1973年から2015年にかけて追ったもので、若者の間のがんの長期的特徴について新たに重要な見識を与えてくれるものだ。研究者らは、1973年〜2015年にがんと診断された50万人近くの若者の診断時の年齢、性別、人種、がんの種類、生存の有無に関するデータを米国立がん研究所(NCI)のデータベースから収集した。
同調査の対象とされ、浸潤性のがんを患った15〜39歳の50万人近くの若者の80%は白人だった。研究者らはこの驚くべき調査結果を取り上げていないものの、この数字は白人と非白人の間の医療格差を明白に示している。より後期になってがんの診断を受けたり、あるいは全くがんと診断されないことで、白人以外の人の間ではがんの状況がさらに悪化することとなる。このシナリオは非常に頻繁に起きているものだ。