日本人の51%が「SDGsを聞いたことがない」 自分ごとにするヒントは?

世界平均に比べて、日本での「SDGs」の認知度はまだまだ低い(Shutterstock)


サステナブルな企業しか生き残れない時代に?


自社の利益追求を目標とする企業活動と、社会全体の幸せの追求を目標とするサステナブルでは、一見相性が悪いように思えるかもしれないが、実はそうではない。 サステナブルな活動に取り組み始めている多くの企業が、企業のイメージアップ、新規事業の創造、従業員や株主の満足度の向上につながっている。

さらに最近では、サステナブルな企業がランク付けされて、株価にも影響してくるようになった。世界の投資家集団の中には、化石燃料産業への投資停止や撤退を宣言するところもでてきている。

市場だけでなく、政府からの後押しもある。菅義偉首相が所信表明演説において、「我が国は2025年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロ。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したのは記憶に新しい。 

近い将来、サステナブルな活動をしていない企業の商品は買わないといった動きが、消費者の側から本格化することもあり得る。そうなれば、サステナブルを軽視した企業は、市場のなかで生きていけないような時代がやってくるかもしれない。 これからは、サステナブルに基づいて産業構造や経済社会の大きな変革が求められる時代に入っていくが、これは企業にとって大きな成長のチャンスだとも言える。 


温室効果ガスの排出量を抑えるために、自動車業界も変革が求められている(Unsplash)

例えば自動車業界では、電気自動車市場がこれまで以上に盛り上がっていくと予想される。2020年10月、ホンダが経営資源をガソリン車から電気自動車など環境車へ集中させることを目的に、長年参戦してきた自動車レースのF1から2021年シーズンを最後に撤退すると表明したニュースは、自動車業界の大きな変化を象徴し、企業の本気度が伝わる。

経済産業省が主催する自動車新時代戦略会議は、2050年までの長期目標として「日本車で世界最高水準の環境性能を実現すること」を掲げている。具体的な数値としては、1台当たりの温室効果ガスの排出量を8割程度削減することを目指しており、この水準が達成されるためには、乗用車のxEV率は100%となることが想定されている。

電気自動車へと大きく舵が切られれば、既存の企業は変革を迫られるが、新しい企業が参入しやすくなるという意味ではチャンスの時でもある。さらにその流れは、部品供給メーカーや燃料給油所など、社会全体へと広がって行くことになる。

ある意味では、とても厳しい時代に入っていくのかもしれない。変化が激しければ、それに対応するための迅速な行動が求められるからだ。 しかし、チャンスが多い時代になることで、人々が成長していくのだとすれば、その厳しさは肯定されるべきではないだろうか。私の子供や孫には、そんなチャンスに溢れた時代を生きてほしいと思っている。

文=鈴木康弘

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