米企業のドローン配送参入「空の覇権争い」勝者を決める3つの視点

ドローン配送革命、勝つのはどの企業?(Photo by Unsplash)

アマゾンがドローン配送を開始したことを受け、配送革命がより活発になる見通しです。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・グーグルとUPSに続き、アマゾンは、米連邦航空局(FAA)にドローン配送プログラムを認可された3番目の企業となりました。
・この新たな市場をめぐる覇権争いが始まっています。
・勝者と敗者の分かれ目にもなる3つの質問を紹介します。

アマゾンのドローン配送プログラムが米国で認可されたと発表されました。消費者向け荷物配送におけるイノベーション競争は続いています。

この画期的な認可を連邦航空局(FAA)から獲得した企業は、アマゾンが3社目です。自律型空輸システムの利用拡大によって、地方に住む人々に対し、より短時間で荷物を届けることが可能となります。

アルファベット(グーグルの親会社)が100%出資するドローン配送サービス、ウィング・アビエーションとUPSフライトフォワードも、この認可をすでに取得していますが、アマゾンは既存の物流システムにシームレスに統合できる可能性のあるビジネスモデルを持っていることから、今回ようやく認可されたことで、先駆者としての役割を果たすことになるでしょう。

アマゾンのサービスにドローン配送を組み込み、プライムエアを利用して30分以内の配送オプションを作成することは、これまでで最も明確な形でのドローン配送であり、他の承認された2つのオペレーションと比較しても、競争上の優位性が高いと言えます。ジップラインやウイングコプターのような革新的なスタートアップ企業は、アフリカと欧州で成功を収めている米国外のドローン革命をリードしていますが、アマゾン、グーグル、UPSは、より広範囲にわたって配達の環境を再定義していくと見られています。

FAA認可という一つの目標において、グーグルとUPSはアマゾンよりも先行しているわけですが、ドローン配送に関しては、テクノロジーよりもドローンの利用方法が成功のカギを握るということが、ここ数年で証明されています。

ルワンダとガーナでドローンを使って血液や個人防護具(PPE)を配送することで、ドローンの可能性を再定義した、サンフランシスコのドローン配送会社ジップラインは、日頃から、同社はあくまで物流会社であり、ドローンビジネスは付随的なものとしています。ジップラインの最も重要なイノベーションは、サプライチェーンの管理、既存のワークフローとの統合、およびそのプロセスにおけるステークホルダーへの継続的な教育を通じて実現されたものです。

3社の命運をわける3つのファクター


米国の大手企業における、以下に示す3つの違いを見ることで、どの企業が配送競争に勝利するのかについての洞察を得ることができます。

1. ドローンの製造元はどこになるのか

アマゾンとグーグルは、自社でドローンを製造していますが、UPSはしていません。ドローンの自社製造にはリスクが伴います。シリコンバレーで言われているように、ハードウェアはハード、つまり困難なものです。もともとはテック企業であるアマゾンとグーグルは、最初から独自のハードウェアを開発し、認可に向けて社内で機体開発を続け、より厳密なイノベーションプロセスとより迅速な進化を生み出しています。

両社はまた、自社の業務を維持・管理するための接続技術の開発も継続的に行っています。これは、自社のニーズに合わせて開発プロセスを合理化し、迅速な進化を推進するため、必要な形にぴったりと合わせて機体を変更することができるという利点があります。
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文=Harrison Wolf, Project Lead, Aerospace and Drones, World Economic Forum

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